2009年のニュース
【7月19日】
ガイド「天候、昼には回復」、実際は悪化…大雪山系遭難 北海道・大雪山系トムラウシ山(2141メートル)で縦走ツアーの参加者ら18人が遭難、8人が死亡した事故で、道警は18日午後、ツアーを企画した旅行会社「アミューズトラベル」の札幌営業所に続き、東京都千代田区の本社を業務上過失致死容疑で捜索し、ガイドの研修資料などを押収した。-
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93 パーティーを引率したガイドは遭難当日の16日早朝、出発前のツアー客に対して「天候は昼前には良くなるだろう」と説明していたことが新たに判明。実際には天候が悪化して5人しか自力下山できておらず、道警はガイドの判断が適切だったかどうかについて調べる。
旅行会社などによると、ツアーは13~17日のうちの3日間で、旭岳からトムラウシ山の計45キロの行程を縦走する計画。一行は16日午前5時半頃、宿泊した避難小屋を出発し、遭難した。
15日夜に同じ避難小屋に泊まった別のグループによると、両グループは16日午前5時に小屋を出る予定だったが、風雨が強いため、出発せずに様子を見た。この時、遭難したパーティーの同行ガイドがツアー客に対し、「午前中は前線の影響で天気が悪いが、その後は良くなるだろう」と説明し、予定より約30分遅れて出発したという。別のグループは、その約5分後に出発した。
釧路地方気象台帯広測候所によると、16日午前6時の十勝地方の天気は「晴れ」だったが、その後に風が強まり、午前11時55分には強風注意報が発令されていた。
別のグループの一人で静岡県
函南町の男性(66)によると、遭難したパーティーは歩みが遅く、午前9時頃には山頂の手前約1キロの地点で追い抜いた。この時すでに天候は悪化しており、強風で岩にしがみつく人もいたという。
遭難したパーティーは連日8~10時間縦走する日程で、15日には雨の中を約10時間行動していた。一方、別のグループは1日の徒歩時間が4~10時間で、15日は4時間程度しか歩かなかったという。
別のグループは16日夜、全員が無事下山しており、男性は「遭難したパーティーは相当疲れているように見えた。我々は日程に余裕があり、さほど疲れていなかったので下山できたと思う」と話している。-
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【7月18日】
大雪山遭難 ガイドの行動は適切だったか(7月18日付・読売社説) 雪渓や豊富な高山植物がみられ、中高年に人気の登山コースである北海道・大雪山系が、遭難事故の舞台に一変した。10人の死者が出た大量遭難である。東京都内の旅行会社のツアーなどに参加した59歳から69歳の男女のほか、ガイド1人が犠牲になった。-
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YOMIURI ONLINE-
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大雪山系では推定で風速20メートル以上の雨交じりの風が吹き、気温も10度前後まで下がっていた。死因は低体温症とみられている。 8人が死亡したパーティーから生還した人が話した遭難状況によると、同行していた旅行会社のガイドの行動は納得しがたい。
3人のガイドが引率して、一行は強風と雨の中、山小屋を出発した。途中で倒れ込む人がいたにもかかわらず、体力の残っているメンバーだけで進んだ。その後、散り散りになっていったという。 全員の装備や疲労度などを見て最善の行動を選択するのが、ガイドの役目だろう。生還者の証言通りとすれば、ガイドが参加者を死に追いやったようなものだ。
北海道警には遭難に至った経緯を徹底的に調べてほしい。3人のガイドの経験や能力は、十分だったのか。なぜ、誰も途中で無謀な行動を制止しなかったのか。 登山客を死亡させたとして、ガイドや添乗員が業務上過失致死罪に問われたこともある。山岳遭難でも刑事責任の有無を追及するのは当然だろう。
旅行会社では「日程に無理はなく、不運が重なったとしか考えられない」と説明するが、「不運」では済まされない。 利益優先で、ツアー客の安全は二の次になっていなかったか。現地のガイドに決行や撤収の判断を任せきっていたのか。道警にはこの点も調べてもらいたい。
中高年の間では登山ブームである。それに伴い遭難事故も増えている。昨年の山岳遭難の死者と行方不明者は281人で、統計のある1961年以降で最悪を記録したが、その9割は40歳以上だ。
山の天候は急変する。道に迷ったり落石や落雷、滑落の恐れもある。周到な準備もないまま入山するのは、あまりに危険だ。 集団登山の場合でも、天候や体力に不安を感じたら山小屋にとどまったり、下山する別グループと行動を共にしたりするなど、それぞれの判断も必要だろう。 山岳ガイドには日本山岳ガイド協会の認定制度があるが、統一的な資格制度はない。信頼できるガイドをいかに選ぶか。その重要さも今回の遭難は教えている。(2009年7月18日01時39分 読売新聞)
【7月18日】
北海道・大雪山系遭難:強風の中ガイド「出発」/夏山、中高年に落とし穴(その1) 北海道大雪山系トムラウシ山と美瑛岳の遭難は2パーティー、1個人の計10人の死亡が確認され、夏山としては過去に例がない大規模遭難となった。-
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◇「無謀と思った」 ツアー客、判断ミス指摘も
北海道大雪山系トムラウシ山と美瑛岳の遭難は2パーティー、1個人の計10人の死亡が確認され、夏山としては過去に例がない大規模遭難となった。夏でも水が凍るといわれる大雪山系で、助かった男性は「寒くて死にそうだった」と振り返る。悪天候の中で予定を強行した判断に疑問を呈する声も上がる中、大雪山をよく知る地元の山岳関係者ですら「これほどの事故は記憶にない」とうめいた。
「午前4時36分、道警ヘリが男女2人を発見」「ヘリに収容、女性は心肺停止、男性は意識不明」--。
遭難の一報から12時間余りが経過した17日午前4時40分。前日の暴風雨が静まったトムラウシ山登山口(新得町)の現地対策本部では、無線から切迫した声が流れた。「ダメかもしれない」。救助隊を指揮する西十勝消防組合の幹部がつぶやいた。
約10分後、無線で伝えられた男女2人のうち、女性を収容したヘリが登山口の空き地に着陸。ヤッケを着て、フードを頭からかぶった女性が道警の機動隊員に抱きかかえられて降ろされ、待機していた救急車へ。両足は垂れ下がり、目は閉じたまま。顔は血の気がなく、真っ白だった。
続いて別のヘリが登山道で救助した女性を乗せて着陸。女性は報道陣のカメラを避けるように顔を手で覆い、道警が用意したワゴン車に乗り込んだ。トムラウシでの死者は、パーティーの8人、個人1人の9人に達した。
大雪山系は標高2000メートル級が続く。1500メートルを超えると大きな木は生えないため、強風が吹くと遮るものがない。今回のツアー客も強い風雨にさらされ、体感温度が一気に低下したとみられる。救助に出動した新得山岳会の小西則幸事務局長は「大雪山系では夏でも水が凍るほど気温が下がり、しっかりとした装備が必要。テントを持たず、山小屋を利用する縦走では小屋の設置場所が限られているため、どうしても行程に無理が生じる。こうしたことに悪天候が重なり、事故を招いてしまったのではないか」と推測する。
悪天候の中で登山に踏み切ったガイドの判断ミスを指摘する声も上がった。午前4時半ごろに下山したツアー客の戸田新介さん(65)=愛知県清須市=は15日の晩に泊まったヒサゴ沼避難小屋を出発する時、風が強いと感じたといい、「ガイドは出発すると判断したが、無謀だと思った」と話す。遭難時の様子については、「寒くて死にそうだった。ガイド1人が付き添って下山を始めたが、ペースが速すぎてちりぢりになってしまった」という。こうした判断について北海道山岳ガイド協会の幹部は「ガイドはツアー客を目的地まで安全に連れていくことが務め」と前置きした上で、「本州からのツアー客を案内する場合、旅程が詰まっており、帰りの航空便の時間にプレッシャーを感じる。16日朝、避難小屋を出発する時に悪天候の空を見上げて、難しい判断を迫られたはず。現段階で判断の良い悪いを問えないが今後の検証は必要だ」と指摘した。
◇「ボランティア熱心な人だった」--亡くなった姫路・尾上さん
亡くなった尾上あつ子さんの夫彰さんは17日朝、姫路市古二階町で経営する家具店を出て現地に向かった。店は通常通り営業しているが、従業員らはあつ子さんの悲報に言葉少なだった。テレビニュースを見て店にお悔やみに行った近所の男性(67)は「あつ子さんは明るく、熱心にボランティア活動をする人だった。彰さんは気丈に涙をこらえていたが、落胆している様子だった」と話した。【山川淳平】
◇自力下山ホッと--広島・亀田さん妻
16日夜に自力下山した亀田通行さん(64)の妻(59)=広島市東区=は「17日午前1時30分ごろ、下山したとツアー会社から連絡があった。その前、救出までテントで過ごすと伝えられていたので、安心はしていた」と話した。遭難したグループは二手に分かれ、通行さんはすでに自力下山したグループに入っていたと説明されたという。通行さんは登山歴約10年。【星大樹】
◇雨で体温低下
トムラウシ山のツアーを企画した「アミューズトラベル」(東京都千代田区)によると、一行は14日に旭岳温泉を出発、雨の中を白雲岳避難小屋まで歩いた。15日は曇りで、同小屋からヒサゴ沼避難小屋へ。16日朝、次のツアーを待つ男性ガイド(60)を避難小屋に残し、18人がトムラウシ山頂を経由してふもとのトムラウシ温泉を目指すコースへ出発した。気温は10~15度で、山頂までの間に強風にさらされ、一部の客は体温低下。体調が良好だった客6人とガイド2人が下山したという。
◇なぜ突っ込んだ--アルピニストの野口健さんの話
アミューズトラベルは山岳ツアーを本格的にやっている旅行会社。報道を見る限り、ツアー客が不安に思うほど風が強い中で、なぜ突っ込んでいったのか。特に中高年の場合は体が冷えるため、ツアーでは天気が良いことが絶対条件。私も8月下旬に大雪山を縦走したことがあるが、避難小屋の中でテントを張って火をたいて体を温めた。本州とはまったく違う。
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北海道・大雪山系遭難:愛知の4人ら10人死亡 悪天候、低体温症で
北海道・大雪山系遭難:「収容者、意識なし」/本州の客、目立つ軽装(その2止) 毎日新聞 2009年7月17日 大阪夕刊
【7月17日】
「とにかく寒かった」強風の中登山決行 大雪山系遭難 中高年を中心に人気を集める夏山登山が暗転した。北海道大雪山系でツアー客らの遭難が相次ぎ、17日午前までに10人の死亡が確認された。ベストシーズンで快適なはずの夏山だが、急な悪天候で体力を奪われた可能性がある。現場で何が起きたのか。登山決行の判断は適切だったのか。-
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トムラウシ山で遭難した一行は14日に入山。旭岳温泉を出発し、白雲岳、ヒサゴ沼と避難小屋を2泊して大雪山を縦走し、トムラウシ山に入った。 ツアーを企画したアミューズトラベルの説明によると、まず女性1人が体温の低下で体調を崩し、ガイド1人とテントを張ってその場にとどまった。さらに4人が体調を崩し、テントで休むことにしたという。テントの外で男性1人が動けなくなっていた。
残りの参加者9人は別のガイドとふもとを目指した。疲労から集団に追いつけない参加者もでて、集団はやがてばらばらになったという。このガイドは参加者2人を連れて下山し、その後、再び1人で山に入ったという。 自力で下山した愛知県清須市の戸田新介さん(65)の話によると、出発した時点で風がビュービューと吹き荒れていた。「こんなので大丈夫なのか」。不安に思ったが、計画通り出発した。数時間後に1人目が倒れ、その後、次々とメンバーは脱落した。「起きないと死んじゃうぞ」。戸田さんは体調を崩したメンバーに呼びかけたという。
倒れたメンバーとガイドを残し、体力の続くメンバーは先に進んだ。しかし戸田さんは集団のペースに追いつけなくなり、1人で取り残されたという。夜になり、いったん歩行をやめて雨風をしのいだ。17日午前3時半に再び歩き始め、登山道の入り口に来ていた救助の車に出合った。-
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