【6月12日】 菅首相所信表明  3陣営歓迎と批判「カラー出た」「国家観見えない」
  参院選日程が11日、「6月24日公示―7月11日投開票」で固まり、決戦まで1か月を切った。菅首相の所信表明演説も行われ、群馬選挙区から立候補予定の富岡由紀夫参院議員(民主)は「財政健全化など菅首相のカラーも出た」と歓迎し、中曽根弘文元外相(自民)は「国家観が見えてこない」と、急造の新首相を批判した。郵政改革法案の成立先送りによる亀井金融・郵政改革相の辞任や、荒井国家戦略相の事務所費問題も噴出しており、選挙戦へ影響は必至の様相だ。-続きを読む-YOMIURI ONLINE-84
 菅首相は、公共事業偏重や小泉構造改革とは異なる「第3の道」を主張し、財政健全化路線を強調した。 同日夕、高崎市内で記者会見した富岡氏は「耳障りの良くない増税議論を避けるべきでない。破綻(はたん)してからでは遅い」と、菅首相の方針を支持した。
 郵政改革法案の先送りを巡っては、中曽根氏支援を打ち出す郵政関係者もいることを念頭に、「選挙で民主党が負けたら法案の成立も難しくなる。理解してもらえるよう説明していく」とし、事務所費問題には「議員本人がきちんと説明しないといけない」と迷惑そうな表情で語った。
 富岡氏はその後、前橋市内で母校の早稲田大学出身者の会合に出席し、慶応大学出身の中曽根氏との決戦を前に「早慶戦で負けるわけにはいきません」と宣言し、会場を沸かせた。
 中曽根氏は同日、太田市内で小池百合子元防衛相を招いて講演会を開催した。立ち見も出る盛況で、小池氏は所信表明演説について「ボロが出ないうちに選挙に入ろうとしているから中身がない」と批判。11日開幕のサッカー・ワールドカップを引き合いに「普天間問題などで、鳩山政権はオウンゴールを入れてしまった」と皮肉った。
 終了後、記者団の取材に応じた中曽根氏は、菅首相の所信表明について「経済対策については触れているようだが、もっと国家観や理念について聞きたかった」と批評。国民新党の連立維持に、「離脱すべきだ」と、参院での“数合わせ”を批判し、マンガ本購入などが指摘された事務所費問題には「話にならない」とあきれ顔だった。
 一方、元前橋市議の店橋世津子氏(共産)は、菅首相が所信表明で税制の抜本改革を掲げ、将来の消費税率アップを示唆したことについて、「増税すれば国民生活はますます不安定になる。反対だ」とピシャリ。事務所費問題には「早くもほころびが出た。説明責任を果たすべきだ」と語った。

          選管、日程固まり安堵 入場券印刷、業者に指示
 参院選の日程が7月11日投開票にほぼ決まり、県や各自治体の選管は11日、保留していた投票啓発物や広報紙などの作製に、一斉にゴーサインを出した。7月25日投開票も取りざたされ、先送りしてきたが、選管職員は一息ついた形だ。 県選管は11日、日付の印刷が必要な横断幕やのぼり、ポスターやティッシュなどの作製開始を業者に指示した。担当者は「どの業者にも、ギリギリまで待ってもらっていた」と安堵(あんど)していた。
 伊勢崎市でも、入場券やポスター掲示場などを作り始めるよう業者に伝えた。 だが、万一日程がずれた場合に無駄な費用が生じてしまうため、慎重な向きもある。太田市は入場券について、「今日一日、様子を見たい」と判断を保留した。(2010年6月12日  読売新聞)


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今日まで頑張ってきたつもり…鳩山発言全文1
 お集まりの皆さん、ありがとうございます。そして国民の皆さん、本当にありがとうございました。国民の皆さんの昨年の暑い夏の戦い。その結果、日本の政治の歴史は大きく変わった。それは国民の判断は決して間違っていなかったと私は今でもそう確信をしている。こんなに若い素晴らしい国会議員がすくすくと育ち、国会の中で活動を始めてくれている。それも国民の判断のおかげだ。政権交代によって国民の皆さんのお暮らしが必ず良くなる、その確信の下で皆さん方がお選び頂き、私が首相として今日までその職を行って参りました。皆さん方と協力して日本の歴史を変えよう、官僚任せの政治じゃない、政治主導、国民が主役になる政治を作ろう。そのように思いながら今日まで頑張ってきたつもりだ。
 私は今日、お集まりの国会議員と一緒に国民のための予算を成立させることができたと、そのことを誇りに思っている。ご案内の通り子ども手当もスタートした。高校の無償化も始まっている。子どもに優しい未来に、魅力のある日本に変えていこう。その私たちの判断は決して間違っていない。そう確信している。
 産業を活性化させなきゃいけない。とくに1次産業が厳しい、農業の一生懸命やっている方の戸別所得補償制度、お米からではあるがスタートさせていくこともできている。そのことによって1次産業がさらに2次産業、3次産業と合わせて6次産業として大いに再生される日は近いと、私はそのようにも確信している。
国民が聞く耳持たなくなった…鳩山発言全文2
 様々な変化が国民の暮らしの中に起きている。水俣病もそうだ。さらには医療崩壊が始まっている地域の医療を何とかしなきゃいけない。厳しい予算の中で医療費をわずかですが増やすことができたのも、国民の意思だと、私はそのように思っている。これから、もっともっと人の命を大切にする政治、進めていかなければならない。
 ただ、残念なことにそのような私たち政権与党のしっかりとした仕事が必ずしも国民の心に映っていない。国民が徐々に徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった。そのことは残念でなりませんし、まさにそれは私の不徳の致すところと、そのように思っている。
 その原因、二つだけ申し上げる。やはりその一つは、普天間の問題でありましょう。沖縄の皆さんにも(鹿児島県の)徳之島の皆さんにもご迷惑をおかけしています。ただ、私は本当に沖縄の外に米軍の基地をできる限り移すために努力をしなきゃいけない、今までのように沖縄の中に基地を求めることが当たり前じゃないだろう、その思いで努力をして参りましたが、結果として県外にはなかなか届きませんでした。これからも県外にできる限り、彼ら(米軍)の仕事を外に移すよう努力をして参ることは言うまでもありませんが、一方で北朝鮮が韓国の哨戒艇を魚雷で沈没させるという事案も起きている。北東アジアは決して安全安心が確保されている状況ではない。その中で日米の信頼関係を保つと言うことが、日本だけではなく、東アジアの平和と安定のために不可欠なんだという、その思いのもとで残念ながら、沖縄にご負担をお願いせざるを得なくなった。そのことで、沖縄の皆様方にもご迷惑をおかけしています。
日本の平和は日本人自身で…鳩山発言全文3
 そして、特に社民党さんに政権離脱という厳しい思いをお与えしてしまったことを、残念でなりません。ただ、皆さん。私も、これからも社民党さんとは、さまざま、国民新党さんと共にではありますが、一緒にいままで仕事をさせてきていただいた、これからもできる限りの協力をお願いして参りたい。さらに、沖縄の皆さん方にも、これからもできる限り、県外に米軍の基地というものを少しずつでも移すことができるように、新しい政権として努力を続けていくのがなにより大切だと思っている。 社民党より日米を重視した、けしからん。その気持ちも分からないでもありません。ただ、どうぞ、社民党さんとも協力関係を模索していきながら、いまここはやはり日米の信頼関係をなんとしても維持させていかなければならないという、その悲痛の思い、ぜひみなさんにもご理解を願いたいと思っている。私は、つまるところ、日本の平和、日本人自身で作り上げていくときをいつかは求めなければならないと思っている。アメリカに依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けて良いとは思いません。そこのところも是非、みなさん、ご理解いただいて、だから鳩山がなんとしても少しでも県外にと思ってきた、その思い。ご理解を願えればと思っています。その中に私は、今回の普天間の本質が宿っている、そのように思っています。
規正法違反の元秘書、想像だに…鳩山発言全文4
 いつか、私の時代は無理でありますが、あなた方の時代に日本の平和を、もっと日本人自身でしっかりと見つめあげていくことができるような、そんな環境を作ること、現在の日米の重要性は言うまでもありませんが、一方でそのことも模索をして頂きたい。私は、その確信の中で、しかし、社民党さんを政権離脱という大変厳しい道に追い込んでしまった。その責任は取らねばならない、そのように感じております。
 いま一つはやはり政治とカネの問題であります。自民党を飛び出して、さきがけ、さらには民主党をつくりあげて来ましたのも、自民党政治ではだめだ、もっとお金にクリーンな政権をつくらなければ、国民の皆さん、政権に対して決して好意をもってくれない。なんとしてもクリーンな政治をとりもどそうではないか、その思いでございました。
 それが結果として、自分自身が政治資金規正法違反の元秘書を抱えていたなどと言うことは、私自身まったく想像だにしておりませんでした。そして、そのことが、今日ご来会の議員の皆様方に大変なご迷惑をおかけしてしまったことを本当に申し訳なく、なんでクリーンであるはずの民主党の、しかも代表がこんな事件にまきこまれるのか。皆様方もさぞご苦労され、お怒りになったことだろうと思います。私は、そのような政治とお金に決別をさせる民主党を取り戻したいと思っています。みなさんいかがでしょうか。(拍手)
退陣、小沢幹事長と2度相談…鳩山発言全文5
 この問題をめぐって、私自身もこの職を引かせていただくことになりますが、あわせてこの問題は小沢幹事長にも、政治資金規正法の議論があったことも、皆様方周知のことでございます。
 先般2度ほど、幹事長ともご相談を申し上げながら、「私も引きます。しかし、幹事長も恐縮ですが、幹事長の職を引いていただきたい。そのことによって、新しい民主党、よりクリーンな民主党を作り上げることができる」と申し上げました。幹事長も、「分かった」とそのように申されたのでございます。
 決して自動的という話ではありません、お互いにその責めを果たさなければならない。重ねて、申し上げたいと思いますが、今日も見えております小林千代美議員にも、その責めをぜひ負っていただきたい。
 誠に、この高い壇上から申し上げるのも恐縮でありますが、私たち民主党を再生させていくためには、とことんクリーンな民主党に戻そうじゃありませんか皆さん(拍手)。そのためのご協力をよろしくお願いいたします。
 必ず、そうなれば国民の皆さんが、新たな民主党に対して聞く耳を持っていただくようになる。そのように確信をいたしております。私たちの声も国民の皆さんに届くでしょうし、国民の皆さんの声も、私たちにすとっと通る新しい政権に生まれ変わると確信をしています。
20年先を読む宇宙人だった…鳩山発言全文6
 皆さん、私はしばしば宇宙人だと言われております。 それは、私なりに勝手に解釈すれば、今の日本の姿ではなく、5年、10年、20年、何か先の姿を国民の皆さんに常に申し上げているから、何をいっているのかわからんよと、そのように国民の皆さんに、あるいは映っているのではないか、そのようにも思います。
 たとえば、地域主権。原口大臣が先頭を切って走ってくれています。もともと、国が上で地域が下にある社会なんておかしいんです。私は地域のほうが主役になる日本にしていかなきゃならない、それがどう考えても、国会議員や国の官僚がいばっていて、くれてやるからありがたく思えと、中央集権の世の中は、まだ変わっていませんでした。
 そこに少なくとも、風穴が開いた。かなり大きな変化が今、できつつある。これからさらに一括交付金など強く実現をはかっていけば、日本の政治は根底から変わります。地域の皆さんが、思い通りの地域を作ることができる。そんな世の中に変えていけると思います。
 今すぐ、なかなか分からないかもしれません。しかし5年、10年たてば必ず、国民の皆さん、鳩山の言っていることはこういうことだったのかとわかっていただけるときが来ると確信しています。
新しい「公共」という考え方…鳩山発言全文7
 新しい「公共」もそうです。 官が独占している今までの仕事を出来る限り、公を開くということをやろうじゃありませんか。皆さん方が主役になって、本当に国民が主役になる、そういう政治を社会を作り上げることができる。
 まだ、なかなか新しい「公共」という言葉自体がなじみが薄くてよく分からんと、そう思われているかもしれません。ぜひ、今日お集まりの議員の皆さん、この思いをこれが正しいんだと。官僚が独占した社会でなく、出来る限り民が、国民の皆さんが出来ることは全部やりおおせる社会にかえていく、その力を貸して頂きたいと思います。
 「東アジア共同体」の話もそうです。今すぐという話ではありません、でも必ずその時代が来るんです。
 おかげさまで、3日ほど前、済州(チェジュ)島に行って、韓国の李明博大統領、中国の温家宝首相とかなりとことん話し合って参りました。東アジア、我々は一つだと。壁にwe are the one。我々は一つだと標語が掲げられていた。そういう時代を作ろうじゃありませんか。
 国境を越えて、お互いに国境というものを感じなくなるような、そんな世の中を作り上げていく。そこに初めて新たな日本というものを取り戻すことができる。私はそのように思っています。国を開くこと。そのことの先に未来を開くことができる。私はそう確信しています。
 ぜひ新しい民主党、新しい政権を皆様方の力によってお作りをいただきたい。その時に、今、鳩山が申していた、どうも先の話だなと思っていたことが必ず皆さんの連携の中で、よし分かった、理解をしていただける国民の気持ちになっていけると私はそう確信している。
大変ふつつかな私だったが…鳩山発言全文8
 お話が長くなりました。私は済州島に行って、あのホテルの部屋の先にテラスがありまして、そのテラスのところに一羽のムクドリが飛んで参りました。どうもそのムクドリ、我が家にいるムクドリとまったく同じでありました。
 失礼、ヒヨドリであります。鳥の名前、間違えちゃいました。(会場、笑)一羽のヒヨドリが済州島のホテルに飛んで参りました。そのヒヨドリは我が家からヒヨドリかな、姿形が同じだからそのように勝手に解釈をして、この鳥も早くそろそろ戻って来いよ、そのことを招いているようにも感じた。
 雨の日には雨の中を、風の日は風の中を、自然に歩けるような苦しいときには雨天の友、お互いにそのことを理解し合いながら、しかし、その先に国民の未来というものをしっかり見つめ合いながら、手を携えて、この国難とも言えるときにぜひ皆さん、耐えながら、そして国民との対話の中で新しい時代をつかみ取って行こうではありませんか。
 今日はそのことを皆様方にお願い申し上げながら、大変、ふつつかな私でありましたけれども、今日まで8か月あまり、皆さんとともにその先頭に立って歩ませていただいたことに、心から感謝を申し上げながら、私からの国民の皆さん、特にお集まりの皆さん方へのメッセージとします。ご静聴ありがとうございました。-YOMIURI ONLINE


2010年1月28日 デフレ克服、日銀と協調…首相施政方針演説

鳩山首相は29日午後の衆院本会議で、就任後初めての施政方針演説を行った。
 演説では、景気を「二番底」に陥らせないため、「いのちを守る予算」と名付けた2010年度予算案を早期に成立させ、28日に成立した09年度第2次補正予算と合わせて切れ目ない景気対策を実行する方針を掲げた。
 同時に、デフレ克服に向け、日本銀行との政策協調を進める考えも示した。沖縄県の米軍普天間飛行場移設については、5月末までに移設先を決め、最終決着させる決意を表明した。
 首相は、自らの資金管理団体を巡る偽装献金事件について、「国民の皆さまに多大のご迷惑とご心配をおかけした」と改めて陳謝した。そのうえで、「政治とカネ」の問題への対応策として、「企業・団体献金の取り扱いを含め、開かれた議論を行う」と述べ、政治資金規正法改正などに関する議論を始める意向を示した。民主党の小沢幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件には言及しなかった。
 また、官僚依存から政治主導への転換を図るため、昨年10月の所信表明演説で宣言した「戦後行政の大掃除」に関し、税金の無駄遣いを洗い出すために昨年行った「事業仕分け」の第2弾を実施して特別会計の整理統合を進める意向を示した。
 さらに、各省庁の副大臣や政務官の増員などを柱とする「政治主導確立法案」を今国会に提出するほか、夏の参院選後には中央省庁の抜本的な再編に取り組む考えを表明した。
 経済政策では、「人間の幸福を実現するための経済をつくり上げるのがこの内閣の使命だ」と述べ、行き過ぎた市場原理主義の転換を宣言した。経済成長に向け、世界最高水準の環境技術を活用した「グリーン・イノベーション」や医療・介護技術の研究・開発を中心とした「ライフ・イノベーション」を促進し、雇用の創出にもつなげる方針を打ち出した。
 外交では、首相が提唱する「東アジア共同体」構想の実現に向けた具体策として、07年から米軍が中心に実施している人道支援活動「パシフィック・パートナーシップ」に、今年から海上自衛隊の輸送艦を派遣し、太平洋・東南アジア地域で医療支援や人材交流を行うとした。同時に、共同体形成は、「揺るぎない日米同盟が前提条件だ」とし、米側への配慮を示した。  首相は29日夕に参院本会議でも演説する。  (2010年1月29日14時08分  読売新聞)


2010年1月28日 オバマ大統領の教書演説要旨 
 オバマ米大統領が27日に行った一般教書演説の要旨は次の通り。
 【内政】

 一、わたしが就任した1年前、厳しい景気後退により経済は揺さぶられ、金融システムは崩壊の一歩手前だった。財政赤字も膨張していた。だからわれわれは迅速に、果敢に行動した。嵐の一番ひどい時期は過ぎた。
 一、これまでの変革の速さが十分だったとは言えない。どうして政府はわれわれの問題を解決できないのか、理解できずに不満を感じ、怒っている人々もいる。
 一、われわれは大きく困難な課題に直面している。米国民は、民主党と共和党が、政治的なまひを乗り越えるために相違点を克服することを望んでいる。
 一、わたしたちの歴史で最も困難な年の一つだったが、国民は不屈の力を共有。今夜ほど米国の未来に対する希望に満ちていたことはない。われわれはあきらめない。

 一、われわれが行ってきた取り組みは、保険業界の悪行からすべての国民を守るだろう。中小企業と無保険者に対し、手ごろな料金の医療保険を選べる機会を提供する。
 一、今夜こうして話している間にも多くの国民が医療保険を失うだろう。赤字は拡大し、保険料は値上がりするだろう。わたしはこれらの国民に背を向けはしない。
 【経済】
 一、前政権による金融機関の救済策を支持、透明性を高めて実施した結果、市場は安定した。
 一、働く世帯の95%が対象の減税などで消費が増え、新エネルギーなどで200万人の職を創出。さらに150万人が年末までに雇用される。
 一、輸出を5年で倍増させ、200万人の雇用を増やす新たな目標を設定する。雇用が最大の焦点だ。
 一、平時なら、まず赤字削減に取り組むが、危機の渦中なので恐慌の再来を防ぐために赤字を膨らませた。正しいことだったと確信している。
 一、2011年から3年間、国家安全保障、医療保険、社会保障を除く政策的経費の伸びを凍結する。
 一、超党派の財政委員会を設置する大統領令を出す。委員会は、財政赤字の解決策を期限までに提出する。
 一、ロビイストの政策決定への影響を排除。ロビイストに政権や議会との接触について情報開示させる。

 【外交】
 一、01年の米中枢同時テロの後に感じた一体感は消散した。
 一、就任初日から、決意新たに米国を脅かすテロリストの対策に専念。昨年のクリスマスに起きたデルタ機爆破テロ未遂事件で明らかになった体制の不備を見直す。
 一、アフガニスタンで米軍を増派し、アフガン治安部隊が11年7月から治安維持を主導できるよう訓練。米軍は撤退を開始できる。ロンドンで同盟国や友好国が集まり共通の目標を再確認する。困難はあるだろうが、成功すると確信している。

 一、米軍戦闘部隊は今年8月末までにイラクから完全に撤退する。イラク政府とイラク人への支援を続けるが、戦争は終わりつつある。
 一、米国は核兵器の脅威に直面。わたしは核兵器の拡散防止と、核兵器のない世界を求めている。ロシアとの軍備管理条約交渉はまとまりつつある。
 一、4月の核安全保障サミットには、4年以内に世界の核物質の安全を確保しテロリストに渡さないという目標のため44カ国が集まる。
 一、外交努力の結果、核兵器を求め国際協定違反を続ける国家への対応を強めることができた。北朝鮮は孤立の度合いを深め、制裁強化の動きに直面している。
 一、イランも孤立を深めている。イランの指導者は義務履行を怠ったままで、いずれ重大な結果に直面するだろう。
 一、世界中のイスラム社会とともに科学や教育の促進を図る。
 一、万人は平等であるという共通の価値を守れば、他のすべての人と同様に扱われる。
 【環境】
 一、気候変動の科学的根拠について疑問視する声があることは承知しているが、将来のため、エネルギー効率化やクリーンエネルギーへの転換を促進するべきだ。
 一、クリーンエネルギー分野で先頭に立つ国家が、世界経済をリードすることになる。米国がその国家にならなければいけない。
 (ワシントン、ニューヨーク共同)

2009年11月16日

鳩山首相アジア政策演説全文<1>   (2009年11月15日21時33分  読売新聞)
 ◆アジアと日本
 テオ・チーヒン副首相兼国防相閣下、バレー・デスカラジャラトナム国際関係大学院所長、ご来席の皆様、つい先ほど、リー・シェンロン首相閣下が見事に議長を務められたAPEC首脳会議が終わり、こちらに駆けつけました。皆様方の前で日本の新政権のアジア政策についてスピーチできることを大変光栄に存じます。特に、テオ副首相兼国防相閣下には、本日のモデレーターという役目をお引き受けいただき、感謝に耐えません。
 今日、アジアの重要性に疑いはありません。世界で多極化が進む現在、経済力に着目すれば、2008年時点でASEAN+6は世界のGDPの約23%、APECでは52%以上を占め、これらの数字は今後もさらに増加する傾向にあります。
 アジアでは、実体経済のレベルで域内統合が進んでいることは皆さんもご承知のとおりです。同時に、アジアは世界に対してオープンであることによって繁栄している、ということも興味深い事実です。また、ASEAN諸国や中国、韓国などが、経済発展に呼応する形で、地域や国際社会のための建設的役割を果たし始めていることは、私たちを勇気づけてくれます。
 もちろん、発展するアジアにも、課題がないわけではありません。その点、アジアにおける米国のプレゼンスは、我が国を含めたアジアの平和と繁栄に重要な役割を果たしてきており、今後も果たすことでしょう。我が国が日米同盟を引き続き、日本外交の基軸と位置づける最大の理由の一つは、そこにあります。オバマ大統領と私は、同盟を一層深化させることでも一致しました。また、昨日、オバマ大統領は、東京で演説を行い、アジアに対する米国の関与姿勢を再確認されました。皆さんと共に、私はそれを歓迎したいと思います。
 日本はアジアのなかでとてもユニークな国です。アジアで最も早く近代化を成し遂げ、優れた技術力と成熟した経済を持っています。日本社会には、勤勉さやチームワークなど、誇るべきクオリティーがあることも、リー・クアンユー顧問相閣下が回顧録に書かれているとおりです。また、長い議会民主主義の伝統を持つ日本ですが、つい2か月ほど前には国民が政権交代を選択し、民主主義の歴史に新たな1ページを開いたことは、皆さんもご存じのとおりでしょう。
 日本のユニークさは、それだけではありません。アジアの多くの国々よりも一足先に「成長の先にある課題」に直面しています。少子高齢化、都市化と過疎化の同時進行、などがその例ですが、我々は試行錯誤の末、このような課題に対処するための知識や経験を蓄積してきました。
 重要なことは、ほとんどすべての国が、こうした課題にやがて行き当たる、ということです。日本がこれまで蓄積してきた知見は、地域の国々が「成長の先にある課題」に取り組む際に、公共財的に使ってもらうことができます。一足先に苦労する、ということも、日本の力になるようです。だからこそ、私は信じます、この日本が他のアジアの国々と協力すれば、できないことはない、と。
 ◆東アジア共同体構想の推進
 日本の新政府は、アジア外交の重視を宣言します。そして、その柱になるのが「東アジア共同体構想」です。
 私の東アジア共同体構想の思想的源流をたどれば、私自身が大切にしている「友愛(yu−ai)」思想に行き着きます。「友愛」は「博愛(fraternity)」と訳されることもありますが、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方のことです。「自立と共生」の思想と言ってもよいでしょう。
 私は政治家になって以来、「日本と他のアジア諸国、より広くはアジア・太平洋諸国相互の間に、友愛の(きずな)をつくりあげることはできないものか」と考えてきました。と言うのも、この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていないからです。
 目を欧州に転じれば、悲惨な2度の大戦を経て、それまで憎みあっていた独仏両国は、石炭や鉄鋼の共同管理をはじめとした協力を積み重ねました。さらに国民相互間の交流を深めた結果、事実上の不戦共同体が成立したのです。独仏を中心にした動きは紆余(うよ)曲折を経ながら、その後も続き、今日のEUへと連なりました。この欧州での和解と協力の経験こそが、私の構想の原型になっています。
 すなわち、私の東アジア共同体構想は、「開かれた地域協力」の原則に基づきながら、関係国が様々な分野で協力を進めることにより、この地域に機能的な共同体の網を幾重にも張りめぐらせよう、という考え方です。後で述べるように、貿易、投資、金融、教育など、広範な分野で協力を具体的に進めることを、何よりも重視します。
 協力の過程で我々は、みんなでルールを決め、みんなで協働し、みんなで知恵を出し合い、みんなでルールを守るようになります。その結果、現実の利益が得られるだけでなく、相互信頼の感情が育まれることも期待されます。   (2009年11月15日21時33分  読売新聞)

鳩山首相アジア政策演説全文<2>
 ◆経済連携の促進
 ここで私の考える協力の例をあげれば、以下のようなものがあります。
 第一は、共に繁栄するための協力です。欧州の例を見ても、ASEANの例をみても、経済関係の進展は、原則的には協力を惹起(じゃっき)します。そして、この地域の経済連携を共通のルールに則って促進する有力な手段が、EPA/FTAです。
 日本は現在、東南アジア地域の7か国およびASEAN全体との間など、10か国1地域との間でEPAを締結しています。しかし、これでは「日本を開く」というには不十分です。今後は韓国、インド、豪州との間でEPA交渉を加速するほか、それ以外の国とのEPA交渉の可能性も追求していきます。また、ASEAN+6による「CEPEA」やAPECの「FTAAP」の議論には積極的に参加します。
 ◆気候変動問題
 第二は、緑のアジアを守るための協力です。この地球上に気候変動の脅威から逃れられる国はありません。日本は、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として、2020年までに温室効果ガスを1990年比で言えば、25%削減するという目標を掲げています。我々の子孫のためにも、現在交渉中のCOP15は、是非とも成功させなければなりません。
 従来型の成長は皆さんを幸せにしないし、持続不可能であることを、我々は知っています。日本も高度成長期には、ひどい大気汚染や環境破壊を経験しました。現にアジアの各地で、河川が汚れ、マングローブの林が失われています。
 私は心から願います。途上国の皆さんが、気候変動問題で「共通だが差異のある責任」の下、温室効果ガスの削減を掲げる一方、日本企業の持つ、優れた省エネ技術、スマートグリッド・システム、水浄化技術などを活用することにより、「持続可能な成長」を実現してもらいたいと。
 ◆「友愛ボート」
 第三は、いのちを守るための協力です。アジアでは自然災害によって亡くなった方の数は、2007年までの30年間で130万人を超えます。SARS、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザなどの感染症も、国境を越えて猛威を振るいます。この地域では、自然災害や感染症は戦争を上回る、人間の安全保障上の課題である、と言っても過言ではありません。
 阪神・淡路、スマトラ、ジャワなどの大地震、繰り返し来襲するモンスーンや台風の被害――、大規模災害が起こるたびに、我々は助け、助けられてきました。NGOやボランティアの人たちの献身する姿も、私のまぶたに焼き付いています。我々はもっともっと、助け合おうではありませんか。
 各国の政府機関などに援助のための人的・物的アセットを事前登録してもらい、災害発生時に円滑に救助活動ができるようにするなど、防災のための新たな枠組み作りに向けて、日本は積極的に貢献していきます。
 衛生面では、日本は来年、自衛艦を「友愛ボート」と名付けて民間人やNGOの人たちも乗せ、太平洋・東南アジア地域で医療活動や文化交流などを行います。これは米国が2007年から行っている「パシフィック・パートナーシップ」への参加となります。米国、豪州、インドネシアなどと共に働き、現地の人々の役に立てることを期待しています。
(2009年11月15日21時35分  読売新聞)

鳩山首相アジア政策演説全文<3>
 ◆「友愛の海」
 第四は、「友愛の海」をつくるための協力です。この地域は様々な海でつながり、交易の相当部分も海を通じて行われます。この海を「友愛の海」にすることは、地域全体に平和と繁栄をもたらすことにほかなりません。多国間の共同作業という前提で言うなら、周囲を海で囲まれた海国・日本には、海の平和を守るためのノウハウとアセットがあります。
 例えば、我々は海賊対策でもっと協力することができます。マラッカ海峡を含む東南アジアで実施されている域内の協力は多くの国にとってモデルとなっており、これを他の地域に拡大してはどうでしょう。また、ソマリア沖では、日・米・中・韓・豪・印・マレーシア・シンガポールなど、多くのアジア太平洋諸国が海賊対処活動に従事しています。この方面でも、我々はもっと連携できるはずです。東アジア地域では、海の事故防止や緊張緩和を進めるための共通の取り組みがまだまだ遅れています。海難事故の際の捜索救助協定を締結するなど、各国間で具体的な協力を進めることが大切です。
 ◆共同体メンバー
 我々にできる協力の分野は、これらにとどまりません。核軍縮・核不拡散、文化交流、社会保障、都市問題もあるでしょう。将来的には、政治的な協力について話し合うこともありえます。また、ある分野で協力する意志と能力を持つ国々が先行して参加し、その協力が成果を上げるに従ってメンバーが増える、といったケースも考えられます。いかがでしょうか、皆さん。本日、私の説明を聞いてなお、「鳩山構想の中では、誰が共同体のメンバーになるのか」と質問されますか。私の答えは――。理想と夢を共にする人々――です。
 ◆人的交流
 最後に、私が「東アジア共同体構想を前進させる際に最も大事な鍵になる」と思っていることに触れておきたいと思います。それは「人」です。日本製品がアジア諸国で普及しても、日本でアジア諸国からの輸入が増えても、それだけで相互理解が実現することはありません。「人と人との触れ合い」を通じてはじめて、我々は真にわかりあえます。その技術、道具を互いに学びあうことも大切です。こうして我々は、様々な協力を始めることができるのです。この地域における人の交流を増やすため、日本にはやるべきことがたくさんあります。ほんの一例を言えば、日本政府は、一昨年以来行っている、アジア各国から毎年6000人の人材を招聘(しょうへい)する事業を将来も継続していきます。域内の大学間の単位の互換の拡大や成績評価の共通化のための取り組みも、必ず実現させます。
 この地域では、ASEAN+6で32億人強、APECで27億の人々が生活しています。そのエネルギーたるや、すさまじいものです。この地域に住む様々な人々が国境の垣根を越えて交われば、思いもよらない新たな活力と知恵が、生まれてくるに違いありません。
 本日、グローバルに開かれている社会がいかにダイナミックに発展するか、その最たる成功例であるシンガポールの地にあって、私はAPECの「開かれた地域主義」に無限の可能性を感じ取っています。この地域のいろいろな人に、いろいろな立場で協力を深めてもらいたい。どんな共同体が望ましいのか、大いに議論してもらいたい。明日のアジアを一緒につくってもらいたい。そう思っています。
 日本は来年、APEC議長を務めます。皆さん、この機会をとらえて、どうか日本に来てください。日本には、雪があります。温泉があります。温かい心を持った人々が皆さんを待っています。また来年、お会いしましょう。

(2009年11月15日21時36分  読売新聞)

【11月15日】 オバマ米大統領:東京演説 「アジア・太平洋国家」宣言 威信回復へ決意  オバマ米大統領は14日のアジア政策に関する演説で、米国がアジア・太平洋国家であることを改めて宣言し、今後もこの地域で指導的な役割を果たす決意を表明した。アジアで高い人気を誇る大統領が、アジアの繁栄には米国の存在が欠かせないと直接訴えかけることで、この地域における米国の威信の回復を目指す狙いが込められている。【古本陽荘】-毎日jp-84
 「アジアと米国は太平洋によって隔てられているのではなく、結びついている」。オバマ大統領は演説の初めに、自身がハワイに生まれ、インドネシアで少年時代を過ごしたエピソードを交え、「環太平洋地域が私の世界観を形作るのに役立った」と述べるなど、米国とアジア・太平洋との結びつきを強調した。
 オバマ大統領が今回のアジア歴訪で最初に日本を訪問することにこだわったのは、アジア外交演説の場として日本がふさわしいとの判断があったためだ。大統領が強調したのは、アジアの経済的な繁栄を支えたのは日米同盟を基軸とした米国による秩序の維持があったという点だ。
 さらに、アジアに新しい枠組みが誕生したり、中国の影響力が増大しても、米軍による「安全保障の傘」がアジア全体の安定に不可欠な状況は変わらず、米国の関与がアジアにとって利益になるとの考えに理解を求めた。
 一方で、「この地域の将来は米国の利害につながる」として、「アジア・太平洋地域の発展なしに、エネルギー安全保障や気候変動問題の解決はない」と指摘した。米国にとっても、世界経済の「成長センター」であるアジアに関与することが国益になるとの側面があるからだ。今回の演説は米国民に向けたメッセージでもあった。
 オバマ大統領は、ブッシュ前政権の「単独行動主義」が米国の威信を失墜させたとして、世界的な米国の信頼回復を目指しており、今回の演説もその延長線上にある。演説の背景にあるのは、日本が提案している東アジア共同体構想で米国を「排除」する意見が出たことや、中国の台頭によりアジアでの米国の影響力が相対的に低下していることへの危機感とも言える。
 オバマ大統領は今年4月に「核兵器のない世界」をプラハで呼びかけて以来、イスラム教徒との「新たな始まり」を呼びかけたカイロ演説(6月)▽冷戦思考から脱却し未来志向の米露関係を訴えたモスクワ演説(7月)▽世界各国が相互利益と尊敬に基づく新しい関与の時代を受け入れるよう求めた国連総会演説(9月)−−を通じ、外交の基本政策を発表してきた。今回の東京演説もオバマ政権の外交基軸の一つと位置付けられている。

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     毎日新聞 2009年11月14日 東京夕刊


【11月14日】 オバマ米大統領、就任演説全文(和文)-YOMIURI ONLINE-84

 【ワシントン支局】オバマ新大統領の就任演説全文は次の通り。

 ◆危機への決意◆
 市民の皆さん。私は今日、我々の前にある職務に対して厳粛な気持ちを抱き、あなた方から与えられた信頼に感謝し、我々の祖先が支払った犠牲を心に留めながら、ここに立っている。私は、ブッシュ大統領の我が国への奉仕、並びに大統領がこの政権移行期間に示した寛容さと協力に感謝する。
 これで44人の米国人が大統領就任宣誓を行った。宣誓は、繁栄の高まりのときや、平和で静かなときに行われたこともあった。しかし、しばしば、宣誓は、暗雲が垂れこめるときや荒れ狂う嵐のときに行われた。こうした時、米国は、指導者たちの技量や理念だけに頼ることなく、我々人民が祖先の理想に忠実で、建国の文言に正直であることによって、乗り切ってきた。
 ずっとそうやってきた。この世代の米国人も同様にしなければならない。
 我々が危機の最中にいることは、現在では明白だ。我々の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争を行っている。我々の経済は、ひどく弱体化している。一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をすることなく、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果である。家は失われ、職はなくなり、ビジネスは台無しになった。我々の健康保険制度は金がかかり過ぎる。荒廃している我々の学校はあまりにも多い。さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが、我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、日増しに増え続けている。
 これらは、データと統計に基づく危機の指標だ。予測は困難だが、間違いなく深刻なのは、我々の国土に広がる自信の喪失や、米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖だ。
 今日、私はあなた方に告げる。我々が直面している試練は本物だ。試練は深刻で数多い。試練は容易に、または、短い時間で対処できるものではない。しかし、米国よ、わかってほしい。これらの試練は対処されるだろう。
 この日、我々は、恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目標の共有を選んだため、ここに集った。
 この日、我々は、我々の政治をあまりにも長い間阻害してきた、ささいな不満や偽りの約束、非難や言い古された定説を終わらせることを宣言する。

 ◆国家の偉大さ◆
 我々の国はまだ若いが、聖書の言葉には、子どもじみたことをやめるときが来たとある。我々の忍耐に富んだ精神を再確認し、より良い歴史を選び、貴重な才能と、世代から世代へと引き継がれてきた尊い考えを発展させるときが来た。尊い考えというのは、すべての人は平等で、自由で、あらゆる手段により幸福を追求する機会を与えられるという、神からの約束のことである。
 我々の国の偉大さを再確認するとき、我々は、偉大さが決して与えられたものではないことに気づく。それは勝ち取らなければならないのだ。我々の旅は、近道でも安易なものでもなかった。我々の旅には、仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びだけを望むような、臆病者のための道筋はなかった。むしろ、我々の旅は、危機に立ち向かう者、仕事をする者、創造をしようとする者のためのものだ。それらの人々は、著名な人たちというより、しばしば、無名の働く男女で、長い、でこぼこした道を繁栄と自由を目指し、我々を導いてきた人々だ。
 我々のために、彼らは、わずかな財産をまとめ、新たな生活を求めて大洋を旅した。
 我々のために、彼らは、劣悪な条件でせっせと働き、西部に移住し、むち打ちに耐えながら、硬い大地を耕した。
 我々のために、彼らは、(独立戦争の戦場)コンコードや(南北戦争の)ゲティスバーグ、(第2次大戦の)ノルマンディーや(ベトナム戦争の)ケサンのような場所で戦い、死んだ。
 しばしば、これらの男女は、我々がより良い生活を送れるように、手の皮がすりむけるまで、もがき、犠牲になり、働いた。彼らは米国を、個人の野望を合わせたものより大きく、生まれや富や党派のすべての違いを超えるほど、偉大であると考えていた。

 ◆米国再生◆
 これが今日、我々が続けている旅なのだ。米国は依然として地球上で最も繁栄し、力強い国だ。我々の労働者は今回危機が始まった時と同様、生産性は高い。我々は相変わらず創意に富み、我々が生み出す財やサービスは先週や先月、昨年と同様、必要とされている。能力も衰えていない。しかし、同じ手を用いるだけで、狭い利益にこだわり、面倒な決定を先送りする、そんな時代は確実に終わった。今日から我々は立ち上がり、ほこりを払って、米国再生の仕事に着手しなければならない。
 なすべき仕事は至る所にある。米国経済は、大胆かつ迅速な行動を求めている。そして我々は新規の雇用創出のみならず、新たな成長の礎を整えることができる。道路や橋を造り、電線やデジタル通信網を敷き、商業を支え、我々を一つに結び付ける。科学を本来あるべき地位に戻し、医療の質を引き上げながら、そのコストは減らす。太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かす。新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていく。我々はすべてのことを成し遂げられるし、行っていく。
 我々の野望の大きさについて疑念を抱く人がいる。我々のシステムは多くの大きな計画に耐えられないと指摘する人もいる。だが、彼らは忘れている。彼らはこの国が何を成し遂げたかを忘れている。想像力が共通の目的と出合った時、必要が勇気と結びついた時、自由な男女が何を達成できるかを忘れているのだ。
 皮肉屋が理解できないのは、彼らがよって立つ地面が動いたということだ。長い間、我々を疲れさせてきた陳腐な政治議論はもはや通用しない。我々が今日問うべきなのは、政府の大小ではなく、政府が機能するか否かだ。家族が人並みの給与の仕事を見つけたり、負担できる(医療)保険や、立派な退職資金を手に入れることの助けに、政府がなるかどうかだ。答えがイエスの場合は、その施策を前進させる。ノーならば終わりとなる。公的資金を管理する者は適切に支出し、悪弊を改め、誰からも見えるように業務を行う。それによって初めて、国民と政府の間に不可欠な信頼を回復できる。
 問うべきなのは、市場の良しあしでもない。富を作り自由を広げる市場の力に比肩するものはない。だが、今回の(経済)危機は、監視がなければ、市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた。我々の経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、我々の繁栄が広がる範囲や、機会を求めるすべての人に広げる能力によるものだった。慈善としてではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としてだ。

 ◆我々の安全とは◆
 我々の共通の防衛については、安全と理想とを天秤(てんびん)にかけるという誤った選択を拒否する。我々の想像を超える危機に直面した建国の父たちは、法の支配と国民の権利を保障する憲章を起案した。憲章は、何世代もの犠牲によって拡充された。これらの理想は、今日でも世界を照らしており、我々は都合次第で手放したりはしない。今日(の就任式を)見ている他国の国民や政府ら。巨大都市から私の父が生まれた小さな村まで。米国が平和と尊厳の未来を求めるすべての国々、すべての男女と子供の友人であり、我々がもう一度、指導力を発揮していく用意があると、知ってほしい。
 前の世代は、ファシズムや共産主義と、ミサイルや戦車だけではなく、強固な同盟と強い信念を持って対峙(たいじ)したことを思い出してほしい。彼らは、我々の力だけでは我々を守れず、好きに振る舞う資格を得たのではないことも理解していた。代わりに、慎重に使うことで力が増すことを理解していた。我々の安全は、大義の正当性や模範を示す力、謙虚さ、自制心からいずるものだ。
 我々は、この遺産の番人だ。こうした原則にもう一度導かれることで、我々は、一層の努力や、国家間の一層の協力や理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができる。我々は、責任ある形で、イラクをイラク国民に委ね、苦労しながらもアフガニスタンに平和を築き始めるだろう。古くからの友やかつての敵とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化を食い止めるためたゆまず努力するだろう。

 ◆変わる世界◆
 我々は、我々の生き方について謝らないし、それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しない。テロを引き起こし、罪のない人を殺すことで目的の推進を図る人々よ、我々は言う。我々の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。あなたたちは、我々より長く生きることはできない。我々は、あなたたちを打ち破るだろう。
 我々のつぎはぎ細工の遺産は強みであって、弱みではない。我々は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、それに神を信じない人による国家だ。我々は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球上のあらゆる場所から集まっている。
 我々には、南北戦争や人種隔離の苦い経験があり、その暗い時代から出てきて、より強く、より団結するようになった。我々は信じている。古くからある憎しみはいつかなくなり、民族を隔てる線も消えると。世界が小さくなる中で、我々に共通の人間愛が現れることになると。米国が、新しい平和の時代に先駆ける役割を果たさねばならないと。
 イスラム世界よ、我々は、相互理解と尊敬に基づき、新しく進む道を模索する。紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ、国民は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきだ。腐敗や欺き、さらには異議を唱える人を黙らせることで、権力にしがみつく者よ、あなたたちは、歴史の誤った側にいる。握ったこぶしを開くなら、我々は手をさしのべよう。
 貧しい国の人々よ、我々は誓う。農場に作物が実り、きれいな水が流れ、飢えた体に栄養を与え、乾いた心を満たすため、ともに取り組むことを。我々と同じように比較的満たされた国々よ、我々が国境の向こう側の苦悩にもはや無関心でなく、影響を考慮せず世界の資源を消費することもないと言おう。世界は変わった。だから、我々も世界と共に変わらなければならない。

 我々の前に広がる道について考える時、今この瞬間にもはるかかなたの砂漠や遠くの山々をパトロールしている勇敢な米国人たちに、心からの感謝をもって思いをはせる。彼らは、アーリントン(国立墓地)に横たわる亡くなった英雄たちが、時代を超えてささやくように、我々に語りかけてくる。我々は彼らを誇りに思う。それは、彼らが我々の自由を守ってくれているからだけではなく、奉仕の精神、つまり、自分自身よりも大きい何かの中に進んで意味を見いだす意思を体現しているからだ。これこそが時代を決するこの時に、我々すべてが持たねばならない精神だ。

 ◆新しい責任の時代◆
 政府はやれること、やらなければならないことをやるが、詰まるところ、わが国がよって立つのは国民の信念と決意である。堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける親切心であり、暗黒の時に友人が職を失うのを傍観するより、自らの労働時間を削る無私の心である。我々の運命を最終的に決めるのは、煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思である。
 我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち向かう手段も新しいものかもしれない。しかし、我々の成功は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観にかかっている。これらは、昔から変わらぬ真実である。これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることだ。
 いま我々に求められているのは、新しい責任の時代に入ることだ。米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることだ。困難な任務に我々のすべてを与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すのだ。
 これが市民の代償であり約束なのだ。これが我々の自信の源なのだ。神が、我々に定かではない運命を形作るよう命じているのだ。
 これが我々の自由と信条の意味なのだ。なぜ、あらゆる人種や信条の男女、子どもたちが、この立派なモールの至る所で祝典のため集えるのか。そして、なぜ60年足らず前に地元の食堂で食事することを許されなかったかもしれない父親を持つ男が今、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立つことができるのか。

 ◆自由を未来へ◆
 だから、我々が誰なのか、どれほど長い旅をしてきたのか、その記憶とともにこの日を祝おう。米国誕生の年、酷寒の中で、愛国者の小さな一団は、氷が覆う川の岸辺で、消えそうなたき火の傍らに身を寄せ合った。首都は見捨てられた。敵は進軍してきた。雪は血で染まった。我々の革命の結末が最も疑わしくなった時、我が国の祖は、この言葉を人々に読むよう命じた。
 「酷寒の中、希望と美徳しか生き残ることができない時、共通の脅威に気づいた町も田舎もそれに立ち向かうために進み出た、と未来の世界で語られるようにしよう」
 アメリカよ。我々自身が共通の脅威に直面している時に、我々自身の苦難の冬に、時を超えたこれらの言葉を思い出そう。希望と美徳を抱き、このいてつく流れに再び立ち向かい、どんな嵐が訪れようとも耐えよう。
 そして、我々の子孫に言い伝えられるようにしようではないか。我々が試された時、旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかった、と。そして、地平線と神の慈しみをしっかりと見つめ、自由という偉大な贈り物を運び、未来の世代に無事に届けた、と。
 ありがとう。神の祝福が皆さんにあらんことを。そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。
(2009年1月21日02時50分  読売新聞)


【10月26日】   『戦後行政の大掃除』 首相が所信表明演説 鳩山首相は26日午後の衆参両院本会議で、就任後初めての所信表明演説を行う。首相は、衆院選で政権交代が実現した意義を強調したうえで、官僚依存から政治家主導へと日本政治を転換し、「戦後行政の大掃除」を行うと宣言する。 また、持論の「東アジア共同体」構想など、日本が世界の「架け橋」となる外交を目指すことを表明する。-YOMIURI ONLINE
 首相は冒頭、「国民は政権交代を選択された。『今こそ日本の歴史を変える』との意気込みで、国政の変革に取り組んでいく」と決意を表明。自らの政治理念である「友愛政治」について、「弱い立場、少数の人々の視点を尊重する」ことを原点とすると説明する。
 「戦後行政の大掃除」に関しては「まず行うべきこと」と位置づけ、組織や事業、税金の使い道と予算編成のあり方を見直す考えを表明。「行政内部の密約や省庁間の覚書も明らかにする」と明言する。労働基本権のあり方を含む国家公務員制度の抜本改革に取り組む考えも示す。
 個別政策では「友愛」の理念を踏まえ、「人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治が必要だ」として、「子ども手当」創設や高校授業料の実質無償化など、民主党政権公約(マニフェスト)の主要政策の実現を表明する。
 ガソリン税の暫定税率廃止や高速道路の原則無料化、農業の戸別所得補償制度の創設などについても、実現を約束する。
 外交では、「東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の『架け橋』にならなければならない」と訴える。2020年に温室効果ガスを1990年比25%削減する中期目標を達成するための交渉を主導する決意を表明。「東アジア共同体」をを「他の地域に開かれた、透明性の高い協力体として推進する」と述べる。
 日米関係では、「緊密かつ対等な日米同盟」を目指す考えを強調。「対等」の意味を「世界の平和と安全に果たせる役割や具体的な行動指針を、日本からも積極的に提言、協力していける関係」と説明したうえで、世界的課題でも連携する「重層的な日米同盟を深化させる」と訴える。
 沖縄県の米海兵隊普天間飛行場移設を柱とする在日米軍再編に関しては、「過去の経緯も検証したうえで、沖縄の負担、苦しみや悲しみに思いをいたし、真剣に取り組んでいく」と述べるにとどめる。
 一方、首相の資金管理団体を巡る偽装献金問題については「政治への不信を持たれ、誠に申し訳ない」と陳謝し、「捜査に全面的に協力していく」と強調する。

 所信表明演説全文1はこちら (2009年10月26日16時42分  読売新聞)

今こそ国政の変革…所信表明演説全文1

 ◆はじめに◆

 あの暑い夏の総選挙の日から、すでに2か月がたとうとしています。また、私が内閣総理大臣の指名を受け、民主党、社会民主党、国民新党の3党連立政策合意の下に、新たな内閣を発足させてから、40日がたとうとしています。
 総選挙において、国民の皆さまは政権交代を選択されました。これは日本に民主主義が定着してから、実質的に初めてのことです。
 長年続いた政治家と官僚のもたれ合いの関係、しがらみや既得権益によって機能しなくなった政治、年金や医療への心配、そして将来への不安など、「今の日本の政治をなんとかしてくれないと困る」という国民の声が、この政権交代をもたらしたのだと私は認識しております。その意味において、あの夏の総選挙の勝利者は国民一人ひとりです。その、一人ひとりの強い意思と熱い期待に応えるべく、私たちは「今こそ日本の歴史を変える」との意気込みで、国政の変革に取り組んでまいります。
 この間、私たちは、新しい政権づくり、新しい政治の枠組みづくりに必死に取り組んでまいりました。その過程において、国民の皆さまの変革への期待を感ずる一方、「本当に変革なんてできるのだろうか」という疑いや、「政治なんて変わらない」「政治が変わっても、自分たちの生活は変わらない」というあきらめの感情が、いまだ強く国民の中にあることを痛感させられました。 ここまでの政治不信、国民の間に広がるあきらめの感情の責任は、必ずしも従来の与党だけにあったとは思っておりません。野党であった私たち自身も、自らの責任を自覚しながら問題の解決に取り組まなければならないと考えております。
 ここに集まられた議員の皆さん。 私たちが全力を振り絞ってお互いに闘ったあの暑い夏の日々を思い出してください。皆さんが、全国の町や村、街頭や路地裏、山や海、学校や病院で、国民の皆さまから直接聞いた声を思い出してください。
 議員の皆さん、皆さんが受け止めた、国民一人ひとりの願いを、互いにかみしめ、しっかりと、一緒に、実現していこうではありませんか。政党や政治家のためではなく、選挙のためでももちろんなく、真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこうではありませんか。
 変革の本番はまさにこれからです。今日を、その新たな出発の日としようではありませんか。

 ◆戦後行政の大掃除◆

 私は、政治と行政に対する国民の信頼を回復するために、行政の無駄や因習を改め、まずは政治家が率先して汗をかくことが重要だと考えております。
 このために、鳩山内閣は、これまでの官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へと百八十度転換させようとしています。各省庁における政策の決定は、官僚を介さず、大臣、副大臣、大臣政務官からなる「政務三役会議」が担うとともに、政府としての意思決定を内閣に一元化しました。また、事務次官等会議を廃止し、国民の審判を受けた政治家が自ら率先して政策の調整や決定を行うようにいたしました。重要な政策については、各閣僚委員会において徹底的に議論を重ねた上で結論を出すことにいたしました。
 この新たな体制の下、まず行うべきことは「戦後行政の大掃除」です。特に二つの面で、大きな変革を断行しなければなりません。

 ひとつめは「組織や事業の大掃除」です。

 私が主宰する行政刷新会議は、政府のすべての予算や事務・事業、さらには規制のあり方を見直していきます。税金の無駄遣いを徹底して排除するとともに、行政内部の密約や省庁間の覚書も世の中に明らかにしてまいります。すでに、本年度補正予算を見直した結果、約3兆円にも相当する不要不急の事業を停止させることができました。この3兆円は、国民の皆さまからお預かりした大事な予算として、国民の皆さまの生活を支援し、景気回復に役立つ使い途へと振り向けさせていただきます。今後も継続して、さらに徹底的に税金の無駄遣いを洗い出し、私たちから見て意味のわからない事業については、国民の皆さまに率直にその旨をお伝えすることによって、行政の奥深くまで入り込んだしがらみや既得権益を一掃してまいります。また、右肩上がりの成長期に作られた中央集権・護送船団方式の法制度を見直し、地域主権型の法制度へと抜本的に変えてまいります。加えて、国家公務員の天下りや渡りのあっせんについてもこれを全面的に禁止し、労働基本権のあり方を含めて、国家公務員制度の抜本的な改革を進めてまいります。
 情報面におきましても、行政情報の公開・提供を積極的に進め、国民と情報を共有するとともに、国民からの政策提案を募り、国民の参加によるオープンな政策決定を推進します。

 もうひとつの「大掃除」は、税金の使い途と予算の編成のあり方を徹底的に見直すことです。

 国民の利益の視点、さらには地球全体の利益の視点に立って、縦割り行政の垣根を排し、戦略的に税財政の骨格や経済運営の基本方針を立案していかなければなりません。私たちは、国民に見えるかたちで複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成を行うとともに、個々の予算事業がどのような政策目標を掲げ、またそれがどのように達成されたのかが、納税者に十分に説明できるように事業を執行するよう、予算編成と執行のあり方を大きく改めてまいります。すでに、これまでは作ることを前提に考えられてきたダムや道路、空港や港などの大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかを、もう一度見極めることからやり直すという発想に転換いたしました。今後もまた、私と菅副総理のもと、国家戦略室において財政のあり方を根本から見直し、「コンクリートから人へ」の理念に沿ったかたちで、硬直化した財政構造を転換してまいります。国民の暮らしを守るための財政のあるべき姿を明確にした上で、長く大きな視野に立った財政再建の道筋を検討してまいります。
 政治もまた、国民の信頼を取り戻さなければなりません。政治資金をめぐる国民の皆さまのご批判を真摯(しんし)に受け止め、政治家一人ひとりが襟を正し、透明性を確保することはもちろん、しがらみや既得権益といったものを根本から断ち切る政治を目指さなければなりません。私の政治資金の問題によって、政治への不信を持たれ、国民の皆さまにご迷惑をおかけしたことを、誠に申し訳なく思っております。今後、政治への信頼を取り戻せるよう、捜査に全面的に協力してまいります。

 所信表明演説全文2はこちら (2009年10月26日17時05分  読売新聞)

弱い立場の人々尊重…所信表明演説全文2

◆いのちを守り、国民生活を第一とした政治◆
   
友愛政治の原点

私もまた、この夏の選挙戦では、日本列島を北から南まで訪ね、多くの国民の皆さまの期待と悲痛な叫びを耳にしてきました。
 青森県に遊説に参った際、大勢の方々と握手させていただいた中で、私の手を離そうとしない、一人のおばあさんがいらっしゃいました。息子さんが職に就けず、自らのいのちを断つしか途がなかった、その哀しみを、そのおばあさんは私に対して切々と訴えられたのです。毎年3万人以上の方々のいのちが、絶望の中で断たれているのに、私も含め、政治にはその実感が乏しかったのではないか。おばあさんのその手の感触。その眼の中の悲しみ。私には忘れることができませんし、断じて忘れてはならない。社会の中に自らのささやかな「居場所」すら見つけることができず、いのちを断つ人が後を絶たない、しかも政治も行政もそのことに全く鈍感になっている、そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務です。
 かつて、多くの政治家は、「政治は弱者のためにある」と断言してまいりました。大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきます。
 今回の選挙の結果は、このような「もっとも大切なこと」をおろそかにし続けてきた政治と行政に対する痛烈な批判であり、私どもはその声に謙虚に耳を傾け、真摯に取り組まなければならないと、決意を新たにしております。

 国民のいのちと生活を守る政治

本当の意味での「国民主権」の国づくりをするために必要なのは、まず、何よりも、人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治です。
 かつて、高度経済成長の原動力となったのは、貧困から抜けだし、自らの生活や家族を守り、より安定した暮らしを実現したいという、国民の切実な思いでした。ところが、国民皆年金や国民皆保険の導入から約50年がたった今、生活の安心、そして将来への安心が再び大きく揺らいでいます。これを早急に正さなければなりません。
 年金については、今後2年間、「国家プロジェクト」として、年金記録問題について集中的な取り組みを行い、一日も早く国民の信頼を取り戻せるよう、最大限の努力を行ってまいります。そして、公平・透明で、かつ、将来にわたって安心できる新たな年金制度の創設に向けて、着実に取り組んでまいります。もとより、制度としての正確性を求めることは重要ですが、国民の生活様式の多様化に基づいた、柔軟性のある、ミスが起こってもそれを隠さずに改めていける、新しい時代の制度改革を目指します。
 医療、介護についても必死に取り組みます。新型インフルエンザ対策について万全の準備と対応を尽くすことはもちろん、財政のみの視点から医療費や介護費をひたすら抑制してきたこれまでの方針を転換し、質の高い医療・介護サービスを効率的かつ安定的に供給できる体制づくりに着手します。優れた人材を確保するとともに、地域医療や、救急、産科、小児科などの医療提供体制を再建していかなければなりません。高齢者の方々を年齢で差別する後期高齢者医療制度については、廃止に向けて新たな制度の検討を進めてまいります。
 子育てや教育は、もはや個人の問題ではなく、未来への投資として、社会全体が助け合い負担するという発想が必要です。人間らしい社会とは、本来、子どもやお年寄りなどの弱い立場の方々を社会全体で支え合うものであるはずです。子どもを産み育てることを経済的な理由であきらめることのない国、子育てや介護のために仕事をあきらめなくてもよい国、そして、すべての意志ある人が質の高い教育を受けられる国を目指していこうではありませんか。このために、財源をきちんと確保しながら、子ども手当の創設、高校の実質無償化、奨学金の大幅な拡充などを進めていきたいと思っております。
 さらに、生活保護の母子加算を年内に復活させるとともに、障害者自立支援法については早期の廃止に向け検討を進めます。また、職場や子育てなど、あらゆる面での男女共同参画を進め、すべての人々が偏見から解放され、分け隔てなく参加できる社会、先住民族であるアイヌの方々の歴史や文化を尊重するなど、多文化が共生し、誰もが尊厳をもって、生き生きと暮らせる社会を実現することが、私の進める友愛政治の目標となります。
 所信表明演説全文3はこちら (2009年10月26日16時30分  読売新聞)

国・地方・国民が一体に…所信表明演説全文3

◆「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」◆

 ◆人の笑顔がわが歓び◆

 先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。

 創業者である社長は、昭和34年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて2人の卒業生を仮採用しました。毎日昼食のベルが鳴っても仕事をやめない2人に、女性工員たちは「彼女たちは私たちの娘みたいなもの。私たちが面倒みるから就職させてやってください」と懇願したそうです。そして、次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。 ある年、とある会でお寺のご住職が、その社長の隣に座られました。
 社長はご住職に質問しました。
 「文字も数も読めない子どもたちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て、一生懸命働くのでしょう?」 ご住職はこうおっしゃったそうです。
 「ものやお金があれば幸せだと思いますか」。続いて、「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです」
 「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。
 このチョーク工場は、従業員のうち7割が「障がい」という「試練」を与えられた、いわば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。障がいを持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。
 私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。
 「人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感という絆(きずな)で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために」

 ◆地域の「絆」◆

 ここ10年余り、日本の地域は急速に疲弊しつつあります。経済的な意味での疲弊や格差の拡大だけでなく、これまで日本の社会を支えてきた地域の「絆」が、今やずたずたに切り裂かれつつあるのです。しかし、昔を懐かしんでいるだけでは地域社会を再生することはできません。
 かつての「誰もが誰もを知っている」という地縁・血縁型の地域共同体は、もはや失われつつあります。そこで、次に私たちが目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方です。スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットでのつながりなどを活用して、「誰かが誰かを知っている」という信頼の市民ネットワークを編みなおすことです。「あのおじいさんは、一見偏屈そうだけど、ボランティアになると笑顔が素敵なんだ」とか「あのブラジル人は、無口だけど、ホントはやさしくて子どもにサッカー教えるのもうまいんだよ」とかいった、それぞれの価値を共有することでつながっていく、新しい「絆」をつくりたいと考えています。
 幸い、現在、全国各地で、子育て、介護、教育、街づくりなど、自分たちに身近な問題をまずは自分たちの手で解決してみようという動きが、市民やNPOなどを中心に広がっています。子育ての不安を抱えて孤独になりがちな親たちを応援するために、地域で親子教室を開催し、本音で話せる「居場所」を提供している方々もいらっしゃいます。また、こうした活動を通じて支えられた親たちの中には、逆に、支援する側として活動に参加し、自らの経験を活かした新たな「出番」を見いだす方々もいらっしゃいます。

 ◆「新しい公共」◆

 働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。
 私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。
 国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、21世紀の政治の役割だと私は考えています。
 新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが「自立と共生」の理念を育み発展させてこそ、社会の「絆」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。
 私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。
 所信表明演説全文4はこちら   (2009年10月26日16時30分  読売新聞)

暮らしの豊かさに力点…所信表明演説全文4

 ◆人間のための経済へ◆

 市場における自由な経済活動が、社会の活力を生み出し、国民生活を豊かにするのは自明のことです。しかし、市場にすべてを任せ、強い者だけが生き残ればよいという発想や、国民の暮らしを犠牲にしても、経済合理性を追求するという発想がもはや成り立たないことも明らかです。
 私は、「人間のための経済」への転換を提唱したいと思います。それは、経済合理性や経済成長率に偏った評価軸で経済をとらえるのをやめようということです。経済面での自由な競争は促しつつも、雇用や人材育成といった面でのセーフティーネットを整備し、食品の安全や治安の確保、消費者の視点を重視するといった、国民の暮らしの豊かさに力点を置いた経済、そして社会へ転換させなければなりません。

 ◆経済・雇用危機の克服と安定した経済成長◆

 先の金融・経済危機は、経済や雇用に深刻な影響を及ぼし、今なお予断を許さない状況にあります。私自身、全国各地で、地域の中小企業の方々とお会いし、地域経済の疲弊や経済危機の荒波の中で、歯を食いしばって必死に努力されている中小企業主の皆さんの生の声をお伺いしてまいりました。まさにこうした方々が日本経済の底力であり、その方々を応援するのが政治の責務にほかなりません。経済の動向を注意深く見守りつつ、雇用情勢の一層の悪化や消費の腰折れ、地域経済や中小企業の資金繰りの厳しさなどの課題に対応して、日本経済を自律的な民需による回復軌道に乗せるとともに、国際的な政策協調にも留意しつつ持続的な成長を確保することは、鳩山内閣の最も重要な課題となります。
 私たちは、今国会に、金融機関の中小企業への貸し渋り、貸しはがしを是正するための法案を提出いたします。また、政府が一丸となって雇用対策に取り組むため、先般、緊急雇用対策本部を立ち上げ、職を失い生活に困窮されている方々への支援、新卒・未就職の方々への対応、中小企業者への配慮、雇用創造への本格的な取り組みなど、細やかで機動的な緊急雇用対策を政府として決定したところです。このような時にこそ、地方公共団体や企業、労働組合、NPOの方々を含め、社会全体が、支え合いの精神で雇用確保に向けた努力を行っていくべきだと考えます。
 年金、医療、介護など社会保障制度への不信感からくる、将来への漠然とした不安をぬぐい去ると同時に、子ども手当の創設、ガソリン税の暫定税率の廃止、さらには高速道路の原則無料化など、家計を直接応援することによって、国民が安心して暮らせる「人間のための経済」への転換を図っていきます。そして物心両面から個人消費の拡大を目指してまいります。
 同時に、内需を中心とした安定的な成長を実現することが極めて重要となります。世界最高の低炭素型産業、「緑の産業」を成長の柱として育てあげ、国民生活のあらゆる場面における情報通信技術の利活用の促進や、先端分野における研究開発、人材育成の強化などにより、科学技術の力で世界をリードするとともに、今一度、規制のあり方を全面的に見直し、新たな需要サイクルを創出してまいります。また、公共事業依存型の産業構造を「コンクリートから人へ」という基本方針に基づき、転換してまいります。暮らしの安心を支える医療や介護、未来への投資である子育てや教育、地域を支える農業、林業、観光などの分野で、しっかりとした産業を育て、新しい雇用と需要を生み出してまいります。さらに、わが国の空港や港を、世界、そしてアジアの国際拠点とするため、羽田の24時間国際拠点空港化など、真に必要なインフラ整備を戦略的に進めるとともに、環境分野をはじめとする成長産業を通じて、アジアの成長を強力に後押しし、わが国を含めたアジア全体の活力ある発展を促してまいります。

 ◆「地域主権」改革の断行◆

 「人間のための経済」を実現するために、私は、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための「地域主権」改革を断行します。
 いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのか、これは、本来、地域の住民自身が考え、決めるべきことです。中央集権の金太郎あめのような国家をつくるのではなく、国の縛りを極力少なくすることによって、地域で頑張っておられる住民が主役となりうる、そんな新しい国づくりに向けて全力で取り組んでまいります。そのための第一歩として、地方の自主財源の充実、強化に努めます。
 国と地方の関係も変えなければなりません。国が地方に優越する上下関係から、対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係への根本的な転換です。それと同時に、国と地方が対等に協議する場の法制化を実現しなければなりません。こうした改革の土台には、地域に住む住民の皆さんに、自らの暮らす町や村の未来に対する責任を持っていただくという、住民主体の新しい発想があります。
 同時に、活気に満ちた地域社会をつくるため、国が担うべき役割は率先して果たします。戸別所得補償制度の創設を含めて農林漁業を立て直し、活力ある農山漁村を再生するとともに、生活の利便性を確保し、地域社会を活性化するため、郵便局ネットワークを地域の拠点として位置付けるなど、郵政事業の抜本的な見直しに向けて取り組んでまいります。
 所信表明演説全文5はこちら   (2009年10月26日16時32分  読売新聞)

「架け橋」としての日本…所信表明演説全文5

日本は、経済だけでなく、環境、平和、文化、科学技術など、多くの面で経験と実力を兼ね備える国です。だからこそ、国連総会で申し上げたように、ほかでもない日本が、地球温暖化や核拡散問題、アフリカをはじめとする貧困の問題など、地球規模の課題の克服に向けて立ち上がり、東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間の「架け橋」とならなければなりません。こうした役割を積極的に果たしていくことこそ、すべての国民が日本人であることに希望と誇りを持てる国になり、そして、世界の「架け橋」として国際社会から信頼される国になる第一歩となるはずです。
 世界は、今、地球温暖化という、人類の生存にかかわる脅威に直面しています。本年12月のコペンハーゲンにおけるCOP15に向けて、地球温暖化という大きな脅威に対して立ち向かっていますが、このことは、決して生易しいことではありません。
 しかし、私は確信しております。資源小国・日本が、これまで石油危機や公害問題を乗り越える中で培ってきた技術にさらに磨きをかけ、世界の先頭に立って走ることで、必ずや解決に向けた道筋を切り拓くことができると。そして、同時にそれが、日本経済にとっての大きなチャンスであることも、過去の歴史が示しております。
 私は、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として、2020年に、温室効果ガスを、1990年比で25%削減するとの目標を掲げ、国際交渉を主導してまいります。
 また、途上国支援のための「鳩山イニシアティブ」を実行することで、先進国と途上国との「架け橋」としての役割を積極的に果たし、世界規模での「環境と経済の両立」の実現、「低炭素型社会」への転換に貢献してまいります。そのため、地球と日本の環境を守り、未来の子どもたちに引き継いでいくための行動を、「チャレンジ25」と名付け、国民の皆さまと一緒に、私の政治的リーダーシップのもと、あらゆる政策を総動員し、推進してまいります。
 人類の生存の上で、核兵器の存在や核の拡散ほど深刻な問題はありません。私は、オバマ大統領が勇気を持って打ち出した「核のない世界」という提案に深く共感し、これを強く支持します。しかし、そのことは、米国のみが核廃絶に向けた責任を負うということではありません。むしろ、すべての国が責任を自覚し、行動を起こすことが求められているのです。唯一の被爆国として核廃絶を主張し、また、非核三原則を堅持してきた日本ほど、「核のない世界」の実現を説得力をもって世界に訴えることのできる国はありません。私は、世界の「架け橋」として、核軍縮や核不拡散に大きく貢献し、未来の子どもたちに「核のない世界」を残す重要な一歩を踏み出せるよう、不退転の決意で取り組みを進めてまいります。
 日本はまた、アジア太平洋地域に位置する海洋国家です。古来諸外国との交流や交易の中で、豊かな日本文化が育まれてまいりました。二度と再び日本を取り巻く海を「争いの海」にしてはいけません。友好と連帯の「実りの海」であり続けるための努力を続けることが大切です。このことは、日本のみならず、アジア太平洋地域、そして世界全体の利益だと考えます。その基盤となるのは、緊密かつ対等な日米同盟であります。ここで言う対等とは、日米両国の同盟関係が世界の平和と安全に果たせる役割や具体的な行動指針を、日本の側からも積極的に提言し、協力していけるような関係です。私は、日米の2国間関係はもとより、アジア太平洋地域の平和と繁栄、さらには、地球温暖化や「核のない世界」など、グローバルな課題の克服といった面でも、日本と米国とが連携し、協力し合う、重層的な日米同盟を深化させてまいります。また、こうした信頼関係の中で、両国間の懸案についても率直に話し合ってまいります。とりわけ、在日米軍再編につきましては、安全保障上の観点も踏まえつつ、過去の日米合意などの経緯も慎重に検証した上で、沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆さまの思いをしっかりと受け止めながら、真剣に取り組んでまいります。
 また、現在、国際社会全体が対処している最重要課題のひとつがアフガニスタン及びパキスタン支援の問題です。とりわけ、アフガニスタンは今、テロの脅威に対処しつつ、国家を再建し、社会の平和と安定を目指しています。日本としては、本当に必要とされている支援のあり方について検討の上、農業支援、元兵士に対する職業訓練、警察機能の強化等の日本の得意とする分野や方法で積極的な支援を行ってまいります。この関連では、インド洋における補給支援活動について、単純な延長は行わず、アフガニスタン支援の大きな文脈の中で、対処していく所存です。
 北朝鮮をめぐる問題に関しては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案について包括的に解決し、その上で国交正常化を図るべく、関係国とも緊密に連携しつつ対処してまいります。核問題については、累次の国連安全保障理事会決議に基づく措置を厳格に履行しつつ、6者会合を通じて非核化を実現する努力を続けます。拉致問題については、考え得るあらゆる方策を使い、一日も早い解決を目指します。
 日露関係については、政治と経済を車の両輪として進めつつ、最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決して平和条約を締結すべく精力的に取り組んでまいります。また、ロシアをアジア太平洋地域におけるパートナーと位置付けて協力関係を強化してまいります。
 先日来、私はアジア各国の首脳と率直かつ真摯な意見交換を重ねてまいりました。韓国、中国、さらには東南アジアなどの近隣諸国との関係については、多様な価値観を相互に尊重しつつ、共通する点や協力できる点を積極的に見いだしていくことで、真の信頼関係を築き、協力を進めてまいります。
 アジア太平洋地域は、その長い歴史の中で、地震や水害など多くの自然災害に悩まされ続けてまいりました。最近でもスマトラ沖の地震災害において、日本の国際緊急援助隊が諸外国の先陣を切って被災地に到着し、救助や医療に貢献しました。世界最先端レベルと言われる日本の防災技術や救援・復興についての知識・経験、さらには非常に活発な防災・災害対策ボランティアのネットワークを、この地域全体に役立てることが今後、より必要とされてくると思っております。
 東アジア地域は、保健衛生面でいまだに大きな課題を抱えるとともに、新型インフルエンザをはじめとした新たな感染症・疾病対策の充実が急務です。この分野でも、日本の医療技術や保健所を含めた社会システム全体の貢献など、日本が果たすべき役割は極めて重要です。

 文化面での協力、交流関係の強化も重要です。

 東アジアは、多様な文化が入り交じりながら、しかし、歴史的にも、文化的にも、共通点が多くあります。政治経済の分野で厳しい交渉をすることがあっても、またイデオロギーや政治体制の違いはあっても、民衆間で、相互の文化への理解や共感を深め合っていくことが、どれほど各国間の信頼関係の醸成につながっているか、あらためて申すまでもありません。
 今後、さらに国民の間での文化交流事業を活性化させ、特に次世代の若者が、国境を越えて教育・文化・ボランティアなどの面で交流を深めることは、東アジア地域の相互の信頼関係を深化させるためにも極めて有効なものと考えております。このため、留学生の受け入れと派遣を大幅に拡充し、域内の各国言語・文化の専門家を飛躍的に増加させること、そして、日中韓で大学どうしの単位の互換制度を拡充することなどにより、30年後の東アジアやアジア太平洋協力を支える人材の育成に、長期的な視野で取り組んでまいります。
 貿易や経済連携、経済協力や環境などの分野に加えて、以上申し述べましたとおり、「人間のための経済」の一環として、「いのちと文化」の領域での協力を充実させ、他の地域に開かれた、透明性の高い協力体としての東アジア共同体構想を推進してまいりたいと考えます。
 所信表明演説全文6はこちら  (2009年10月26日16時32分  読売新聞)

「無血の平成維新」…所信表明演説全文6

◆むすび◆

 地震列島、災害列島といわれる日本列島に私たちは暮らしています。大きな自然災害が日本を見舞うときのために万全の備えをするのが政治の第一の役割であります。
 また、同時に、その際、世界中の人々が、特にアジア近隣諸国の人々が、日本をなんとか救おう、日本に暮らす人々を助けよう、日本の文化を守ろうと、友愛の精神を持って日本に駆けつけてくれるような、そんな魅力にあふれる、諸国民から愛され、信頼される日本をつくりたい。これは私の偽らざる思いであります。
 日本は、140年前、明治維新という一大変革を成し遂げた国であります。現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、言わば、「無血の平成維新」です。
 今日の維新は、官僚依存から、国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への、国のかたちの変革の試みです。
 新しい国づくりは、誰かに与えられるものではありません。現在の日本は、黒船という外圧もなければ、敗戦による焼け野原が眼前に広がるわけでもありません。そのような中で、変革を断行することは、先人の苦労に勝るとも劣らない大きな挑戦であります。
 つまずくこともあるでしょう。頭を打つこともあるやもしれません。しかし、後世の歴史家から「21世紀の最初の10年が過ぎようとしていたあの時期に、30年後、50年後の日本を見据えた改革が断行された」と評価されるような、強く大きな志を持った政権を目指したいと思っています。
 今なら間に合います。
 これまで量的な成長を追い求めてきた日本が、従来の発想のまま成熟から衰退への路をたどるのか、それとも、新たな志と構想力をもって、成熟の先の新たなる飛躍と充実の路を見いだしていくのか、今、その選択の岐路に立っているのです。
 私は、日本が正しい路を歩んでいけるよう、自らが先頭に立ち、国民の暮らしを守るための新たな政策を推し進めてまいります。
 私は、国民の積極的な政治や行政への参加を得て、国民とともに、本当の意味で歴史を変え、日本を飛躍へと導くために、全力を尽くしてまいります。
 国民の皆さま、議員の皆さま、私たちの変革の挑戦にお力をお貸しください。
 是非とも一緒に、新しい日本をつくっていこうではありませんか。
(2009年10月26日16時32分  読売新聞)



 
 政策転換で経済再生 鳩山首相、国連総会で演説 -  山形新聞【ニューヨーク共同】鳩山由紀夫首相は24日昼(日本時間25日未明)、国連総会一般討論で演説し、世界経済危機をめぐり「政権交代を通じた政策見直しにより日本経済は復活ののろしを上げる」と景気回復へ決意を表明した。同時に、日本は多様な国家間で世界の「架け橋」の役割を果たしていくと力説。国連改革でも「安全保障理事会において、さまざまな国の『架け橋』としてより大きな役割を果たせる」と述べ、日本の安保理常任理事国入りを目指す考えを示した。
 首相は、自分と同時に他人の自由と人格を尊重する「友愛」の思想に基づき外交を展開すると主張。先の衆院選に触れ「日本の民主主義の勝利で国民の勝利だ」と指摘し「新政権はオールジャパンの陣容で内政・外交の課題に全力で取り組む」と言明した。
 地球温暖化対策については「1990年比25%減」の中期目標にあらためて言及し、12月の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)での新たな枠組み合意に向け連携を呼び掛けた。
 経済危機に対し「新しい日本はグローバリゼーションに適切に対処する必要がある」と指摘。貿易・投資の自由化を進める一方、国際金融は規制を強化すべきだとの認識を示した。具体的な景気回復策としては、年間5兆5千億円の子ども手当やガソリン税暫定税率廃止を挙げ、クリーンエネルギー開発などを通じ「安定的な成長力を確保する」と説明した。
 核軍縮では米国、ロシアによる核兵器削減交渉の進展を歓迎。日本は「核保有、非核保有国の『架け橋』となって核軍縮の促進役になれる」として、主導的な役割に意欲を見せた。北朝鮮核問題について、6カ国協議を通じ非核化に努力すると訴え、拉致問題に関しては「北朝鮮に前向きかつ誠意ある行動があれば前向きに対応する用意がある」と善処を促した。
 アフガニスタン復興に向け、タリバンなど反政府勢力の社会復帰支援に取り組むと強調した。



(2009/09/25-01:57)

鳩山首相の国連総会演説要旨 - 時事ドットコム

【ニューヨーク時事】鳩山由紀夫首相の国連総会での一般討論演説要旨は次の通り。

「新しい日本」は友愛精神に基づき、東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間で世界の「架け橋」となり、「五つの挑戦」に挑む。

 (1)世界的な経済危機への対処=5.5兆円の子ども手当は教育投資であると同時に消費刺激策である。新産業・新技術の創造を通じ安定成長を確保する。政権交代を通じた経済政策の見直しで日本経済は復活ののろしを上げる。
 (2)地球温暖化問題への取り組み=1990年比で2020年までに温室効果ガス排出量25%削減を目指す。途上国に従来以上の資金的、技術的支援を行う。すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築が日本の国際約束の前提となる。
 (3)核軍縮・不拡散=来年5月の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議を成功させるため、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に向け行動すべきだ。北朝鮮の核実験とミサイル発射は断じて認められない。北朝鮮が累次の安全保障理事会決議を完全に実施し、国際社会が諸決議を履行することが重要だ。日朝関係では拉致、核、ミサイルの諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を誠意をもって清算して国交正常化を図る。拉致問題で北朝鮮の前向きかつ誠意ある行動があれば、日本としても前向きに対応する用意がある。
 (4)平和構築・開発・貧困問題=アフガニスタンの反政府勢力との和解や再統合は重要な課題となる。日本は和解に応じた人々に生活手段を提供するための職業訓練など、社会復帰支援の検討を含め、有益な貢献を果たす。
 (5)東アジア共同体の構築=「開かれた地域主義」の原則に立ち、地域の安全保障上のリスクを減らし、経済的なダイナミズムを共有しあうことはわが国、地域、国際社会にとって大きな利益になる。日本は過去の誤った行動に起因する歴史的事情もあり、この地域で積極的役割を果たすことにちゅうちょがあった。新しい日本は歴史を乗り越えアジアの「架け橋」となることを望む。自由貿易協定(FTA)、金融、通貨、エネルギー、環境、災害救助など、できる分野からゆっくりでも着実に進める。

 日本は国連、中でも安全保障理事会の常任・非常任理事国の拡大と日本の常任理事国入りを目指し、安保理改革に取り組む。(2009/09/25-01:57)


鳩山首相の国連一般演説要旨<1>    YOMIURI ONLINE-(2009年9月25日02時10分  読売新聞)

 去る8月30日、日本国民は総選挙においてついに政権交代を選択した。
それは日本の民主主義の勝利であり、国民の勝利だった。私の率いる新政権は、直面する内政・外交の課題に全力で取り組む所存だ。
 日本が国際連合への加盟を承認されたのは、1956年12月18日だ。その時の首相が、我が祖父、鳩山一郎だった。日本の国連デビューとなった第11回総会で、当時の重光葵外相は次のように述べた。
 「日本はある意味において東西の架け橋となりうるのであります。このような地位にある日本は、その大きな責任を十分自覚しておるのであります」と。
 当時の首相である祖父・一郎は「友愛」思想の唱導者だった。友愛とは、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方だ。
 重光葵の演説にある「架け橋」という考え方が、一郎の友愛思想と共鳴していることは実に興味深い。それから53年後の今日、同じ国連総会の場で、私は日本が再び「架け橋」としての役割を果たさんことを、高らかに宣言したいと思う。
 今日、世界はいくつもの困難な挑戦に直面している。しかし、「新しい日本」はそのような挑戦に背を向けることはしない。友愛精神に基づき、東洋と西洋の間、先進国と途上国の間、多様な文明の間等で世界の「架け橋」となるべく、全力を尽くしていく。
 本日、私は日本が架け橋となって挑むべき五つの挑戦について述べる。

 第1は、世界的な経済危機への対処だ。日本がやるべきことは、自身の経済再生だ。新しい日本にはそのためのプランがある。年間5・5兆円の子ども手当は、教育への投資であると同時に、消費刺激策であり、少子化対策となる。
 自動車の暫定税率の廃止は、日本産業のコスト競争力を改善することが期待される。我々は極めて高い気候変動対策の目標を掲げているが、そのことによって新しい市場が生まれるだろう。また、新産業・新技術の創造を通じて安定的な成長力を確保する。
 貿易・投資の自由化を進める一方、市場メカニズム任せでは調整困難な「貧困と格差」の問題や、過剰なマネーゲームを制御する仕組み作りのため、国際協調が求められている。G20を含む国際会議の場で、日本は共通のルール作りに向けて、「架け橋」の役割を果たしていく。 
(2009年9月25日02時10分  読売新聞)

鳩山首相の国連一般演説要旨<2>
読売新聞 09月25日02時10分

2番目の挑戦は、気候変動問題への取り組みだ。

 新しい日本政府は、温室効果ガスの削減目標として、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指すという非常に高い目標を掲げた。交渉状況に応じ、途上国に対して、従来以上の資金的、技術的な支援を行う用意があることも明らかにした。もちろん、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築及び意欲的な目標の合意が我が国の国際約束の「前提」となるが、日本がこのような野心的な誓約を提示したのは、日本が利害関係の異なる国々の「架け橋」となり、将来世代のためにこの地球を守りたい、と願ったからにほかならない。来るべきCOP15(気候変動枠組み条約第15回締約国会議)を必ず成功させよう。

 第3は、核軍縮・不拡散にむけた挑戦だ。すべての核保有国が具体的な核軍縮措置をとることが急務だ。そして、新たに核兵器の開発を企図する国が存在するほか、核物質や核技術がテロリストの手に渡り、実際に使われる危険性は、今後ますます高まりかねない。この分野でも、日本は核保有国と非核保有国の「架け橋」となって核軍縮の促進役になれる可能性がある。すなわち、核保有国に核軍縮を促し、非核保有国に核兵器保有の誘惑を絶つよう、最も説得力を持って主張できるのは、唯一の被爆国、そして、核保有の潜在的能力を持ちながら非核三原則を掲げ続けている日本だ。
 今年4月、オバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界」の構想を示したことは、世界中の人々を勇気づけた。私もその一人だ。来年5月のNPT(核拡散防止条約)運用検討会議を成功させるためにも、CTBT(核実験全面禁止条約)の早期発効やカットオフ(兵器用核分裂物質生産禁止)条約交渉の早期開始に向け、我々は今こそ行動すべきだ。
 北朝鮮による核実験とミサイル発射は、地域のみならず国際社会全体の平和と安全に対する脅威であり、断固として認められない。拉致問題については、昨年に合意したとおり速やかに全面的な調査を開始する等の、北朝鮮による前向きな行動が日朝関係進展の糸口となるだろうし、そのような北朝鮮による前向きかつ誠意ある行動があれば、日本としても前向きに対応する用意がある。

鳩山首相の国連一般演説要旨<3>
2009年9月25日(金)02:10

第4の挑戦は、平和構築・開発・貧困の問題だ。
 21世紀の今日においても、貧困、感染症、保健、教育、水と衛生、食料、麻薬などの問題から世界は解放されていない。新しい日本はここでも「架け橋」になるべきだ。
 日本は国際機関やNGOとも連携し、途上国支援を質と量の双方で強化していく。アフガニスタンがその安定と復興のために注ぐ努力を、国際社会とともに積極的に支援する。パキスタンなどに対する支援も着実に行う。
 様々な国家も、民族も、人種も、宗教も、互いの違いを認めて共生する、つまり「友愛」の理念によって「支えあう安全保障(shared security)」を実現することこそが、人類を救う道だ。

 第5は、東アジア共同体の構築という挑戦だ。今日、アジア太平洋地域に深くかかわらずして日本が発展する道はない。「開かれた地域主義」の原則に立ちながら、この地域の安全保障上のリスクを減らし、経済的なダイナミズムを共有しあうことは、我が国にとってはもちろんのこと、地域にとっても国際社会にとっても大きな利益になるだろう。
 これまで日本は、過去の誤った行動に起因する歴史的事情もあり、この地域で積極的な役割を果たすことに 躊躇 ( ちゅうちょ ) があった。新しい日本は、歴史を乗り越えてアジアの国々の「架け橋」となることを望んでいる。
 最後に私は、国際連合こそがまさに「架け橋」の外交の表現の場であることを、思い起こしていただきたいと思う。日本は国連、中でも安全保障理事会において、様々な国の間の「架け橋」として、より大きな役割を果たすことができる、と私は確信している。安全保障理事会の常任・非常任理事国の議席の拡大と日本の常任理事国入りを目指し、そのための安保理改革に関する政府間交渉に積極的に取り組んでいく。


2009/09/25 01:44   【共同通信】-47 NEWS
鳩山首相の国連総会演説要旨 : 【ニューヨーク共同】鳩山由紀夫首相の国連総会一般討論での演説要旨は次の通り。

▽友愛外交
 日本国民は総選挙で政権交代を選択した。民主主義の勝利、国民の勝利だ。新政権はオールジャパンの陣容で内外の課題に取り組む。友愛精神に基づき東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間で「架け橋」となるよう全力を尽くす。
▽経済危機対応
 年間5・5兆円の子ども手当、ガソリン税暫定税率廃止を実施する。クリーンエネルギー事業など気候変動対策に伴う新たな市場創出などで安定的な成長力を確保。政権交代を通じた政策見直しにより日本経済は復活ののろしを上げる。
 新しい日本はグローバリゼーションに適切に対処する必要がある。貿易・投資の自由化を進めるが、貧困と格差、過剰なマネーゲームを制御する国際協調も求められている。共通のルールづくりへ役割を果たす。
▽温室効果ガス
 日本は2020年までに1990年比25%削減を目指す。すべての主要国が参加した国際的枠組みの構築が、約束の「前提」だ。12月の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を成功させよう。
▽核軍縮
 米ロの核兵器削減交渉進展を歓迎。日本は核保有国と非核保有国の「架け橋」となって核軍縮の促進役になれる。
▽北朝鮮問題
 北朝鮮の核とミサイルは脅威。断固認められない。国際社会による国連安全保障理事会決議履行が重要だ。6カ国協議を通じた朝鮮半島非核化に努力する。
 日朝平壌宣言に従い拉致、核、ミサイルなどの問題を包括的に解決するとともに、不幸な過去を清算し、国交正常化を図る。拉致問題では、北朝鮮が昨年の(日朝実務者)合意に基づき全面調査を始めるなど、前向きかつ誠意ある行動があれば前向きに対応する。
▽アフガン支援
 アフガニスタン復興を積極支援する。反政府勢力との和解は重要課題。和解に応じた人々への社会復帰支援を検討する。
▽東アジア共同体
 日本が歴史を乗り越えてアジア各国との「架け橋」となるよう望んでいる。自由貿易協定(FTA)などできる分野から協力を積み重ねる。
▽国連改革
 日本は安保理において、さまざまな国の「架け橋」としてより大きな役割を果たせる。常任、非常任理事国の議席拡大と日本の常任理事国入りを目指し、改革に向けた政府間交渉に取り組む。


2009年2月18日 毎日新聞
クリントン米国務長官:会談・会見要旨

 来日したクリントン米国務長官が17日に行った会談や共同会見の要旨は次の通り。
 ◇日米外相会談・共同会見
 <日米同盟>


 中曽根弘文外相 初の外国訪問に日本を選んだことは、対日重視、日米同盟重視の表れと歓迎する。日米同盟の強化で一致した。
 クリントン長官 日米同盟は米国外交の要だ。アジアだけでなく世界全体に影響を与える問題に協力して対処することは、オバマ政権にとって重要だ。
 <麻生首相訪米>
 クリントン氏 麻生太郎首相のワシントン訪問をオバマ大統領の代理で招待した。外国首脳をホワイトハウスに迎えるのは初めて。
 中曽根氏 首脳会談の早期実現は、国際社会の諸課題に世界1位と2位の経済大国が協力して対処することを示す絶好の機会だ。
 <米軍再編>
 中曽根氏 在日米軍による抑止力を維持し、沖縄の負担軽減の観点から、ロードマップに基づき着実に在日米軍再編を実施していくことで一致した。
 クリントン氏 グアム移転協定は、太平洋地域における兵力配置を近代化するという我々の決意を反映したものだ。日米同盟の核心を強化する内容だ。
 <北朝鮮問題>
 中曽根氏 拉致、核、ミサイルの包括的な解決の重要性や、完全な非核化実現を目指して、6カ国協議で日米、日米韓が一層連携する。オバマ大統領とクリントン長官は拉致問題に強い関心を持ち、同情していただいている。
 クリントン氏 北朝鮮の非核化と核拡散防止に米国が真剣に取り組んでいることを強調したい。6カ国協議は我々の目標に向け前進するために最も適した枠組みと信じる。拉致問題は6カ国協議の一部だ。北朝鮮はミサイル発射の可能性に言及するが、我々との関係前進には全く役に立たない。北朝鮮がこれまで同意した義務を履行し、核計画を完全かつ検証可能な方法で廃棄すれば、関係正常化、休戦協定でなく、完全な平和条約締結、北朝鮮国民への援助など米国の反応がある。北朝鮮はプルトニウム再処理で核兵器を作る能力を獲得した。時計の針を戻せるなら、そのような事態は許さない。
 <アフガン・パキスタン支援>
 中曽根氏 アフガニスタンとパキスタンの安定は国際社会全体の課題で、日米の努力を一層強化していく必要がある。東京でパキスタン支援国会合開催を提案した。
 クリントン氏 アフガンとパキスタンの安定と繁栄の促進で、日本が果たしてきた主導的役割をたたえたい。米国は高官レベルでパキスタン支援国会合に参加する。米国が行っている政策の見直しに日本も参加してもらうよう要請した。
 <経済問題>
 中曽根氏 国際社会が協力、協調して知恵を絞って解決しなければならない。
 クリントン氏 世界1位と2位の経済大国として責任を我々は認識している。日米双方が負う重要な責任だ。
 <グローバルな課題>
 中曽根氏 気候変動、エネルギー、世界経済、核軍縮・不拡散、アフリカ対策、国連安保理改革、中東和平、ソマリアの海賊など国際情勢に対し、日米の連携強化で一致した。
 クリントン氏 日本はクリーンエネルギー開発で主導的役割を果たしている。我々はエネルギーと気候変動分野で、2国間、多国間の協力をしていく。
 ◇麻生首相との会談
 <日米同盟>
 麻生太郎首相 クリントン国務長官の今回の訪日はオバマ政権の対日重視の姿勢を示すもので歓迎する。日米同盟は日本外交の要であり、オバマ大統領、クリントン長官と手を携えて、この同盟関係を一層強化したい。
 クリントン長官 日米同盟はアジア太平洋地域の平和と繁栄の礎だ。同盟関係の一層の強化に励みたい。
 <日米首脳会談>
 首相 オバマ大統領からの(今月24日の)招待に感謝する。国内の手続きを得たうえで訪米し首脳会談を行いたいと大統領に伝えていただきたい。
 クリントン氏 大統領も首相と早急に会談したいと考えている。
 <地域情勢>
 首相 アジア太平洋地域に普遍的価値を根付かせ、自由で繁栄した安定的、予見可能な地域を築くことは日米両国の利益で責務だ。
 首相・クリントン氏 東アジアの諸課題に、日米同盟を基軸に対処することを確認。中国が国際社会で建設的な役割を果たすよう期待することで一致。
 <北朝鮮問題>
 首相 拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決が重要だ。拉致問題の早期解決に向けて引き続き協力を得たい。
 クリントン氏 拉致被害者の家族と面談した。日米の連携が重要だ。
 <サハリン訪問>
 首相 18日にロシア・サハリンを訪問し、日露首脳会談を行う。
 <気候変動問題>
 首相・クリントン氏 気候変動・エネルギー・国際保健などグローバルな課題での協力で一致。特に気候変動について緊密に協議する。
 ◇小沢代表との会談
 小沢一郎民主党代表 最初に日本を訪問していただき、お礼申し上げる。私の日程を配慮してもらい、このような時間に懇談できたことを感謝する。
 クリントン長官 来年は日米同盟50周年にあたる。日米同盟が両国、アジアにとっても、あらゆる意味でいい結果を果たした。今後の50年も日米同盟をさらに強固にするために努力しよう。
 小沢氏 全面的に同意する。最近の私の言動について、米国の友人から誤解があると忠告を受けた。しかし、私は日米同盟が何よりも大事だと唱えてきた一人だ。ただ、同盟は一方が従属する関係であってはならない。互いに主張を交換し、議論し合い、よりよい結論を得る。得た結論を互いに守って、対等なパートナーシップで初めて同盟だ。
 クリントン氏 パートナーシップを前提に日米同盟、交友関係をいろいろな分野で有効に活用することが大事だ。本日私たちは在沖縄海兵隊をグアムに移転する協定に署名してきた。太平洋地域の兵力の近代化、抑止力、日本を守ることにもさらに貢献できる。
 小沢氏 米軍再編問題は、両国で世界戦略を話し合い、その合意のうえで個別問題に対応することが大事だ。今までの日本政府は、自らの主張を主張し得ないところに問題があった。たとえ困難な役割でも、互いの分担の中で、日本人が責任を果たす覚悟がなかったからではないか。
 北朝鮮は、核のカードを手放すとは思えない。それ以上に、中国問題がより大きな問題だ。中国発展に市場主義を入れたことは大きいが、両刃の剣で市場主義と共産主義は相いれない。矛盾が表面化するだろう。中国問題が世界にとって最大問題。中国の民主化をいかに行うかが日米にとって最大のテーマだ。
 クリントン氏 大変重要な洞察と思う。日米中のトライアングルの関係が大事だ。小沢さんとは今後も継続して話していきたい。
 小沢氏 国務長官をはじめ米国首脳とこれからも話せるように、次の選挙を頑張りたい。
 ◇防衛相との会談
 クリントン長官 日米同盟は世界で最も重要な関係の一つと強く信じる。同盟関係が進むよう努力したい。
 浜田靖一防衛相 在日米軍再編も新たな段階に入り、日米同盟全体の意義やあり方を見直すいい機会だ。
 クリントン氏 日本は非常に重要な役割を果たしている。第一にイラク支援、第二にアフガニスタンについてのインド洋給油活動。三つ目は(東アフリカ・ソマリア沖に)海賊対策船を出すことだ。海賊対策は国会の議論があると思うが、日本が他国の船の保護も緊急時にはできるということも検討していただけるとありがたい。
 浜田氏 問題意識として持っており、新法を検討している。
==============
 ◆在沖縄海兵隊グアム移転協定の骨子◆
・在沖縄海兵隊約8000人とその家族約9000人の14年までのグアム移転などを盛り込んだ06年5月の在日米軍再編日米合意(ロードマップ)を再確認
・日本はグアム移転費の一部として28億ドルを限度に資金提供する
・日本は米国と緊密な協力で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)代替施設の完成を目標とする
・米国は日本が提供した資金と利子を移転事業にのみ使用する
・協定は日米それぞれの国内法に従い承認されなければならない







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